2026年07月01日
授業料の減免の会計処理
こんにちは!今日は、高校の経理の方からのご質問です。
<ご質問>授業料の減免の会計処理
学校法人が独自に行う授業料の減免の会計処理で、総額法を採用する理由を教えてください。
<結論>
日本公認会計士協会「委員会報告第30号」では、授業料減免は「総額法」で処理すべきとされています。その理由は、授業料等は学校法人の基本的な活動に基づく収入であり、減免措置が単なる「値引き」ではなく、学生への「奨学金給付(教育研究経費)」や、教職員への「福利厚生(人件費)」といった支出の性格を有しているためです。これらを総額で表示することで、学校法人の事業規模と、どのような政策(奨学や福利厚生)に基づいて減免を行ったかを計算書類上で明瞭にすることができます。
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総額法(委員会報告30号) |
純額法 |
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根拠 |
諸活動を表す |
支払資金を表す |
<説明>
1. 委員会報告第30号における「総額法」採用の理由
委員会報告第30号では、減免後の手取額のみを計上する「純額法」と、正規額を収入・減免額を支出に計上する「総額法」を比較検討した上で、総額法を採用する理由を以下のように述べています。
「当委員会では、学校法人会計基準第6条に示されているところの『当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出の内容……を明らかにする』という資金収支計算書の目的の重要性にかんがみ、総額法を採用したのである。」
つまり、実際に現金のやり取りがなくても、減免額を支出として認識しなければ、学校法人が行った「学生支援(奨学)」や「教職員支援(福利厚生)」という活動の実態が計算書類から見えなくなってしまうためです。
2. 減免の目的による科目の使い分け
同報告では、減免の理由によって支出科目を区別し、その性格を明確にするよう求めています。
(1)成績優秀者等への減免(奨学的な性格)
「成績優秀者等に対する減免の場合には、奨学的な性格を有するものとみられるので、教育研究経費として『奨学費支出』が妥当なものと考えられる。」
(2)教職員の子弟への減免(給与の性格)
「教職員の子弟に対して減免が行われる場合には、給与への追加としての性格を有するものとみられるので、人件費支出とすることが妥当である。」
3.
総額法と純額法の比較
委員会報告第30号の趣旨に基づき、両者の違いを図表にまとめました。
授業料減免における総額法と純額法の比較
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項目 |
総額法(委員会報告第30号の基準) |
純額法 |
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根拠 |
学校法人の諸活動の収入と支出を表す |
支払資金を正確に表す |
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会計処理の考え方 |
減免額は、学校法人が政策的に行った「支出」であると捉える。 |
減免額は、単なる「収入の辞退(値引き)」であると捉える。 |
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授業料収入の計上 |
「正規の授業料全額」を計上する。(本来の事業規模を示す) |
「減免後の手取額」のみを計上する。(事業規模が縮小して見える) |
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減免分の扱い |
「支出(経費)」として計上する。 ・成績優秀者等⇒奨学費支出 ・教職員子弟等⇒人件費支出 |
「計上しない」。(支出科目が表れないため、支援の実績が見えない) |
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報告書上の効果 |
「どれだけ収入を得る力があり、その中からどれだけ学生や教職員に還元したか」という経営努力と方針が明瞭になる。 |
現金の動きと一致するが、減免制度の有無や規模が計算書類から読み取れなくなる。 |
【参考根拠】日本公認会計士協会学校法人委員会報告第30号「授業料等の減免に関する会計処理及び監査上の取扱いについて」
今日は、ここまでです。