【今日の私学財政1】私学事業団「今日の私学財政」の使い方は?!【私学法107条】役員報酬の支払基準の見直しの時期?!

2026年01月15日

【今日の私学財政2】大学法人・短期大学法人の決算の特徴

今日は、大学法人の総務の方からのご質問です。

今日の私学財政 

<Q>私学事業団「今日の私学財政」の使い方

法人に届いた『令和7年度版 今日の私学財政 大学・短期大学編』を見ると、令和年度決算にはどのような特徴が見られましたか?

<A>

令和年度の決算データにおける最大の特徴は、大学法人(医歯系を除く)では教育研究活動の充実を図りつつも収支の余力が縮小し、施設老朽化への対応が課題となっている点です。
 一方で、短期大学法人では学生数減少による減収が深刻化しており、学生生徒等納付金だけでは人件費すら賄えず、教育活動そのものが資金不足に陥るという非常に厳しい経営状況が鮮明になっています。

 

<説明>

「今日の私学財政」をパラパラと全体をみました。その結果を大学法人と短期大学法人の別に決算の特徴として解説します。

1. 大学法人(医歯系法人を除く)の特徴

大学法人(医歯系を除く)は、全体として収支の均衡を維持していますが、以前に比べるとその余裕が少なくなっています。

(1) 収支差額の縮小

 本業の儲けにあたる「教育活動収支差額」や、基本金組入前の「事業活動収支差額」は令和4年度以降、下降傾向にあります。令和6年度の事業活動収支差額比率は3.3%となり、令和2年度(5.2%)から2ポイント近く低下しました。

(2)人件費の抑制と教育の充実

 事業活動収入の合計値に対する人件費の構成比率49.9%が令和2年度の50.7%から低下する一方で、教育研究経費の比率36.6%は令和2年度の34.4%に比べ上昇しています。これは人件費を抑えつつ、教育研究活動を充実させようとする経営姿勢の表れといえます。ただし、人件費が教育研究経費に委託費に移る傾向が見られるので、人件費+委託費の合計を総人件費として分析するとより深い分析ができるでしょう。

(3) 建物の老朽化と積立金の減少

建物の減価償却費率が50%以上の法人は、令和2年度の46.9%でしたが令和6年度には65.3%まで増加しており、校舎の老朽化が年々進んでいることがわかります。これに関連して、将来の更新に備えた資産の「積立率」が74.9%へと低下しています。

(4)支払資金の減少

525法人の活動区分資金収支計算書の合計値では、教育活動で生み出した資金を老朽化した施設の整備に充てており、結果として手元の支払資金は645億円減少しました。

 

2.短期大学法人の特徴

短期大学法人は、構造的な赤字状態が続いています。

(1) 収支差額の悪化

本業の収支を示す「教育活動収支差額比率」や、基本金組入前の「事業活動収支差額比率」は、令和2年度と比較していずれも悪化傾向にあります。令和6年度の事業活動収支差額比率は▲4.7%となり、令和2年度(▲0.5%)から4.2ポイント悪化(低下)しました。

また、赤字法人の増加については経常収支差額比率が0%未満(赤字)の法人の割合は上昇しており、経営の維持が非常に厳しい局面にあることがデータから読み取れます。
(2)深刻な収入減と人件費負担

 学生生徒等納付金は令和2年度から141億円減少しました。深刻なのは「人件費依存率」で、令和2年度は106.9%でしたが令和6年度は118.0%に達しています。これは学生からの授業料等だけでは、教職員の給与が賄いきれない状態であることを意味します。

(3)教育活動の資金不足

 短期大学法人90法人の活動区分資金収支計算書の合計値では、本業である「教育活動による資金収支」が5億円のマイナス(支出超過)となりました。大学法人が教育活動で資金を生み出しているのに対し、短大は本業そのものが資金を持ち出している状態です。

(4)大学以上の老朽化

 建物の老朽化(減価償却比率50%以上)は72.2%の法人に達しており、大学法人よりも建物の老朽化が進んでいるという点で深刻です。一方で、将来に備える「積立率」は61.9%と低く、設備更新のための資金確保が困難になりつつあります。

 

 今日は、ここまでです。





kaikei123 at 07:00│Comments(0)

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