2025年11月25日
理事長、代表業務執行理事、業務執行理事、平理事の異同
<Q>理事長、代表業務執行理事、業務執行理事、平理事
理事長、代表業務執行理事、業務執行理事、平理事の異同についてわかりやすい比較図表で教えてください。
<A>
理事長、代表業務執行理事、業務執行理事、そして平理事(非業務執行理事)の異同について比較図表と説明文を用いて解説いたします。
学校法人における理事は、業務を執行する者と、主に監督を担う者(非業務執行理事)に分類されます。理事長、代表業務執行理事、業務執行理事の三者は、総称して「業務執行理事等」と呼ばれ、業務を執行する役割を持ちます。これに対し、平理事(非業務執行理事)は、業務の決定や監督を担いますが、実際の執行は行いません。
※理事長、代表業務執行理事、業務執行理事、平理事の比較図表
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項目 |
業務執行理事等 |
非業務執行理事 |
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理事長 (私学法37条1項・6項) |
代表業務執行理事 (私学法37条2項・3項・7項) |
業務執行理事 (私学法37条2項・4項・8項) |
平理事 |
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イメージ |
理事長そのもの |
副理事長 |
常務理事や専務理事 |
外部理事や学識経験者理事 |
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設置の義務 |
必須(必ず1人置く) |
任意(寄附行為で定めるとき) |
任意(寄附行為で定めるとき) |
必須(業務執行理事等以外で構成) |
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選定される者 |
理事のうちから |
理事(理事長を除く)のうちから |
理事(理事長及び代表業務執行理事を除く)のうちから |
理事(業務執行理事等に選定されなかった者) |
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選定機関 |
理事会 |
理事会 |
理事会 |
理事選任機関 |
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代表権の有無 |
有(学校法人を代表) |
有(寄附行為の定めにより代表) |
無 |
無 |
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主な職務/役割 |
業務を総理し、法人を代表する |
理事長を補佐し業務を掌理、法人を代表する |
理事長を補佐し業務を掌理する |
業務決定と業務執行の監督 |
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責任限定契約 |
不可(業務執行を行うため) |
不可(業務執行を行うため) |
不可(業務執行を行うため) |
可能(業務執行を行わないため) |
オーケストラで言うと、理事長は、オーケストラ全体の運営と演奏を統括する指揮者のイメージです。理事長は楽団(学校法人)を代表し、業務(演奏)全体を総理(統括・指揮)する最高の責任を負います。
代表業務執行理事は、副指揮者(コンサートマスター)のような存在です。指揮者(理事長)の職務を補佐しつつ、寄附行為の定めに基づき、指揮者と同じ権限(代表権)をもって楽団を代表し、特定の演奏(大規模な対外事業や契約)を掌理(実行)します。理事長に事故があった際には、代表業務執行理事が直ちに対外的な活動を継続できる役割も担っています。
業務執行理事は、特定の楽器パート(例:弦楽セクション、管楽器セクション)の主席奏者に例えられます 。業務執行理事は指揮者(理事長)の指示の下、定められた業務分野(財務、教務、人事など)の執行を専門的に掌理し、円滑な演奏(業務)の実行を担います。しかし、業務執行理事は楽団を対外的に代表する権限(代表権)は持ちません。
平理事(非業務執行理事)が理事会を監督・評価する運営コーチや評論家のような存在です。平理事の主な役割は、執行(演奏)そのものではなく、理事会という会議体を通じて業務の決定に参画し、業務執行理事等の職務執行を監督することにあります。業務執行責任を負わないため、特定の条件下で責任限定契約を結ぶことが可能です。
<少し説明>
学校法人の理事は、私学法の下では、業務の執行を担う「業務執行理事等」と、業務の決定と監督を担う「非業務執行理事」に役割が分かれています。
1.
理事長
理事長は学校法人に必ず一人置かれることが義務付けられており、法人の業務を総理し、対外的に学校法人を代表する最高の執行責任者です。
2.
代表業務執行理事
代表業務執行理事は、寄附行為に定めることにより任意に置くことができる役職です。理事長以外の理事から理事会によって選定され、理事長を補佐しつつ、理事長と同じく法人を代表する権限を有します。この役職を置くことで、理事長と代表権を分担し、大規模法人の円滑な運営に資することや、理事長に事故があった際の対外的な業務停滞を防ぐことができます。
3.
業務執行理事
業務執行理事も寄附行為に定めることにより任意に置くことができる役職です。理事長や代表業務執行理事を除く理事から理事会によって選定されます。理事長を補佐して法人の業務を掌理しますが、対外的な代表権は持ちません。この役職は、旧法下の副理事長や常務理事などが担っていた、特定の業務分野(財務担当、教務担当など)の執行を担当します。
4.
平理事(非業務執行理事)
平理事は、理事長、代表業務執行理事、業務執行理事のいずれにも選定されていない理事です。私学法における平理事の役割は、業務執行を行わず、主に理事会の構成員として法人の業務決定に参加するとともに、業務執行理事等の職務執行を監督することに特化しています。
非業務執行理事であるため、万が一、任務懈怠により学校法人に損害を与えた場合でも、特定の条件(善意かつ重大な過失がないなど)を満たせば、責任限定契約を締結し、賠償責任の一部免除を受けることが可能となります。
これらの役職のうち、理事長と代表業務執行理事の二者のみが学校法人を代表する権限を有します。この二者の代表権に制限を加えても、それを知らない善意の三者に対してはその制限を対抗できないことが法律で定められています。
(参考:松坂先生の逐条解説・小國先生の実務私立学校法をパラパラと参照)
今日は、ここまでです。
