2025年11月14日
ガバナンス・コードの強制力??
<Q>ガバナンス・コードの強制力??
学校法人のガバナンス・コードの取り扱いについて悩んでいます?学校法人のガバナンスコードとは、学内規定ですか?道徳ですか?強制力はあるものですか?
<A>
学校法人のガバナンス・コード(GC)は、法令上の強制力を持たない、私学団体等が自主的に策定・推奨する行動規範または指針です。法的な強制力を持つ「学内規定」(ハードロー)ではなく、「ソフトロー」に分類されますが、その内容は学校法人の運営における高い公共性や社会的責任に関わる倫理的な側面を含みます。ガバナンス・コードの運用は、原則として遵守するか、遵守しない場合にはその理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」という考え方を基礎としています。
<説明>
1.ガバナンス・コードの法的性質(学内規定か、道徳か)
学校法人のガバナンス・コードは、各私立大学団体(日本私立大学連盟や日本私立大学協会など)が策定・推進する、自主的な行動規範または指針として位置づけられます。
(1)学内規定/法令との区別
ガバナンス・コードは、私立学校法や学校教育法といった「法令」(ハードロー)に基づいて全ての学校法人が一律に遵守を義務付けられるものではなく、「ソフトロー」として扱われます。国立大学法人ガバナンス・コードも、法的拘束力を有するものではないと明確にされています。ただし、多くの学校法人は、団体のコードに準拠し、自律的なガバナンスを確保し経営を強化するための指針として、自法人のガバナンス・コードを策定・公表しています。これは、法人の運営方針や姿勢を自主的に点検するためのツールや規範となるものです。
(2)道徳・倫理的側面
ガバナンス・コードは、単なる法令遵守に留まらず、学校法人が有する公共性に鑑み、健全な運営を通じて社会からの信頼を得るために、説明責任を果たすことを求めています。コードには、理事の忠実義務の明確化や、リスク管理、コンプライアンスの徹底など、経営陣を規律する概念(ガバナンス)や法人内を統制する概念(内部統制)に関わる倫理的規範や行動規範が含まれています。
2.ガバナンス・コードの強制力の有無と運用方法
ガバナンス・コード自体には法的な強制力はありませんが、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の原則に基づいて運用されます。
(1)コンプライ・オア・エクスプレイン
これは、示された原則を遵守(Comply)するか、あるいは、遵守しない場合にはその理由を説明(Explain)する、という考え方です。これにより、画一的な実施を求めるのではなく、私立大学の自主性・自律性と多様性を尊重しつつ、社会に対する透明性と説明責任を確保します。遵守状況の点検結果は、各法人が自主的に行い、ウェブサイト等で広く社会に公表されます。もし「限定付遵守」「遵守不十分」「未遵守」と判断した場合は、その理由や今後の改善への取り組みを具体的に説明することが求められます。
<補足情報>語源からみてみる
コンプライ・オア・エクスプレインの語源は、英語の “Comply or Explain”(従うか説明する)
に由来します。
・コンプライ(Comply):規範やガイドラインに「従う」こと。
・エクスプレイン(Explain):従わない場合に「説明する」こと。
これは、学校法人の多様性(規模、設置校の種類、地域性など)を踏まえ、画一的なルールの強制ではなく、柔軟な運用を可能にするための仕組みといえます。
(2)法令遵守との関係
ガバナンス・コードの各項目には、学校法人として法令(私立学校法、学校教育法など)で定められた事項の遵守や対応を求めるものが含まれています。例えば、財務書類や寄附行為の公開義務、理事の忠実義務などです。これらの項目についてチェック表(例:日本私立短期大学協会版)では「法令等」欄にその旨が明記されており、たとえガバナンス・コードの遵守自体が任意であっても、これらの項目を遵守していない場合、法令違反となる可能性があるため、留意が必要です。
今日は、ここまでです。
