2025年05月19日
【私学法】理事長・代表業務執行理事・業務執行理事の異同
<Q>【私学法】理事長・代表業務執行理事・業務執行理事の異同
新私学法では、理事長の他に代表業務執行理事や業務執行理事が定められましたが、それぞれどういう理事ですか?違いがわかりません。
※私立学校法(理事長、代表業務執行理事及び業務執行理事)第37条
<A>
新しい私学法では、理事長の他に代表業務執行理事や業務執行理事を寄附行為で定めることができるようになりました(私学法37条)。各役割は下記のように原文の37条に従います。
(理事長、代表業務執行理事及び業務執行理事) 第37条 学校法人には理事長一人を置くものとし、寄附行為をもつて定めるところにより、理事のうちから、理事会が選定する。 2 学校法人は、寄附行為をもつて定めるところにより、代表業務執行理事又は業務執行理事を置くことができる。 3 代表業務執行理事は、寄附行為をもつて定めるところにより、理事(理事長を除く。)のうちから、理事会が選定する。 4 業務執行理事は、寄附行為をもつて定めるところにより、理事(理事長及び代表業務執行理事を除く。)のうちから、理事会が選定する。 5 理事長、代表業務執行理事及び業務執行理事は、次項から第八項までの規定に従い、学校法人の業務を執行する。 6 理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。 7 代表業務執行理事は、寄附行為をもつて定めるところにより学校法人を代表し、理事会の定めるところにより理事長を補佐して学校法人の業務を掌理する。 8 業務執行理事は、理事会の定めるところにより、理事長を補佐して学校法人の業務を掌理する。 9 理事長及び代表業務執行理事の学校法人を代表する権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 |
37条の文中、代表業務執行理事や業務執行理事の「掌理する」とは、「一定の事務をつかさどり、これをおさめるということ(吉国外編「法令用語辞典」)」「国、地方公共団体、特別法人等の機関の長、その部局の長その他の幹部職員がその所掌事務を行い、かっ、おさめることを表す用語として用いられる(同)」ものである。理事長の職務を示す「総理」と比べて「低い階級の職員について用いられる」場合があるとされています。(参考:松坂先生「逐条解説私立学校法」p324 2025/2)
理事長、代表業務執行理事、業務執行理事は簡単に言うと業務執行機関です。
※イメージの図表です。
役割 |
理事の種類 |
代表権 |
内容 |
イメージ |
|
業務執行機関 |
理事長 |
◯ |
・法人の代表 ・業務を総理する |
理事長 |
|
寄附行為で定める |
代表業務執行理事 |
◯ |
・法人の代表 ・理事長を補佐して学校法人の業務を掌理する |
副理事長、専務理事 |
|
業務執行理事 |
✕ |
・理事長を補佐して学校法人の業務を掌理する |
常務理事、財務担当理事 |
||
− |
− |
平理事 |
✕ |
・経営機能を強化する |
外部理事 ただし、平理事の管理職教職員も多い |
ただし、実務においては、平理事であっても学校法人内で教職員として働く者は、職務権限規程に基づく権限を持ち、それに従って具体的な内部業務を遂行しています。
今日は、ここまでです。