2025年05月07日
【補正予算対応】賞与引当金の所定福利費の取扱い?
<Q>【補正予算対応】賞与引当金の所定福利費の取扱い?
賞与引当金を計上する場合、法人負担分の所定福利費は、他の法人ではどうしていますか?
<A> 賞与引当金の新規計上については、所定福利費を考慮すべきか全く考えていない学校もありますが、割と多くの学校では所定福利費の引当計上についてすべきか仕訳の仕方も含めて悩んでいます。賞与引当金について、学校法人会計の慣行が確立していない部分だからです。可能であれば、会計基準の設置主体である文科省さんで取扱いを示していただけるとありがたいです。
<少し説明>
2025年4月施行の新基準では、第11条2項に該当する学校法人は賞与引当金を計上することになりました。この場合、賞与の関連費用である所定福利費はどうなるのでしょうか?
(負債の評価) 第11条 負債については、次項の場合を除き、会計帳簿に債務額を付すものとする。 2 退職給与引当金のほか、引当金については、会計年度の末日において、将来の事業活動支出の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該会計年度の負担に属する金額を事業活動支出として繰り入れることにより計上した額を付すものとする。 |
基準11条に従えば、賞与引当額に対応する所定福利費も見積もることができるので、計上することになります。
企業会計であれば、「(借)法定福利費✕✕(貸)未払費用✕✕」の仕訳になります。学校会計も同じようにすべきか、それとも「(借)法定福利費✕✕(貸)賞与引当金繰入額✕✕」にすべきか?日本公認会計士協会リサーチ.センター審理情報(H13.2.14)「未払従業員賞与の財務諸表における表示科目について」を参考にすれば「未払費用」ということになりますが、学校側では賞与引当金が望ましいと考えている方が多いです。仕訳で言うと「(借)所定福利費✕✕(貸)賞与引当金繰入額✕✕」です。ちょっとややこしい話ですが、この審理情報では、見積もり賞与額本体の部分も賞与支給額が支給対象期間に対応して算定されている場合は未払費用として計上され、賞与引当金を使っていません。
補正予算で対応する予定の学校は多いのですが、現状では賞与引当金の対応実務について苦慮している学校が多いです。そもそも学校法人会計では、賞与とは呼ばず「期末手当」と言っていたのですが、パブコメ結果や2025年3月27日通知では期末手当と言わないで賞与引当金の呼称が登場しました。なるべく早い時期に、賞与引当金の具体的な取扱いが文科省資料により明らかになることを期待したいところです。ですが実際のところは私学事業団の月報私学の通常年で言えば12月に掲載される「経営実務Q&A」あたりで会計処理が出てくるのでしょうか?
今日はここまでです。