2025年03月12日
当初予算の法律的な説明
<Q>当初予算の法律的な説明
近々開催される予算評議員会で、予算の諮問について法律に沿った説明をしたいのですが、どのように説明したら良いでしょうか?
<A>
寄附行為まで拝見していませんので、予算手続きについて私学法を根拠に一般的な説明をしてみます。なお、今月の予算評議員会は改正前私学法になります。参考までに新法の私学法での説明を書いておきます。
1.
現行法の予算(改正前私学法)
現行法では、「学校法人は、毎会計年度、予算及び事業計画を作成しなければならない。」(45条の2第1項)と定められています。
現行法は、予算について「理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない」(42条1項1号)と定めています。予算の作成者と決定権限者については法定されていません。
そこでまず予算書の作成です。学校法人の理事長は,「学校法人を代表し,その業務を総理する(37条1項)」との定めがあることから、理事長が予算を作成します。次に学校法人の理事長は,理事長が予算を作成し、評議員会の意見を聞くことになります。最後の予算の決定権限者については、法定されていませんが文科省の寄附行為作成例では、理事会決議が必要とされています(33条)。
なお、現行の実務は、理事長が予算書を作成し理事会承認をえて、次に予算評議員会の諮問を受ける。そして、評議員会の意見を理事会に反映しながら再度予算理事会を開催し、学校法人の予算を確定されています。
2.
改正後の私学法
改正法では、「学校法人は、毎会計年度、予算及び事業計画を作成しなければならない。」(99条)と定められました。
改正私学法では、現行法と異なって、予算の作成や変更を理事会の決議事項と明確にしました(36条3項6号)。また、従来と同じように予算については、評議員会の事前諮問事項となっています(36条4項)。
流れで言うと、「理事長が予算書作成→理事会決議(法定)→評議員会諮問(法定)→理事会決議で予算承認(法定)」となります。従って、予算作成から承認までの流れは、従来とほぼ同じなのですが、理事会の決議事項が明確になり、予算作成・承認の面においての学校法人のガバナンスが明確になりました。
今日は、ここまでです。
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