2025年02月25日
【改正私学法】寄附行為にある「事業報告の附属明細書」とは?
<Q>寄附行為にある「事業報告の附属明細書」とは?
新しい寄附行為に「事業報告の附属明細書」とあるのですが、何のことですか?
※寄附行為作成例(文部科学大臣所轄学校法人向け)(令和6年3月5日大学設置・学校法人審議会(学校法人分科会)決定)
(事業報告及び決算) 第62条 この法人の事業報告及び決算については、毎会計年度終了後、理事長が次の書類を作成し、監事の監査を受けた上で、理事会の承認を受けなければならない。 (1) 事業報告 (2) 事業報告の附属明細書 (3) 計算書類 (4) 計算書類の附属明細書 (5) 財産目録 |
<Q>
事業報告書の附属明細書は、大学法人の寄附行為作成例にも、知事所轄学校法人の寄附行為作成例にも出てきます。
計算書類の附属明細書は、新学校法人会計基準41条1項にあるので容易にわかるのですが、事業報告書の附属明細書は、従来の私学法ではあまり聞かない言葉でした。「事業報告の附属明細書」は、私学法103条第2項に定めがあり、より具体的な内容は私学法施行規則29条第3項に「事業報告書に係る附属明細書」については、「事業報告書の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない」と規定してます。法規集だけでは内容がはっきりしないのでこの先は、松坂先生の逐条解説(4訂版)P665を参考にします。
2 私立学校法施行規則第29条第3項において具体的には、事業報告書に記載された内容を補うために必要な場合には作成することとなる。 (注)学校法人において、事業報告書に係る附属明細書の作成が必要となる場合は少ないと考えられるが、法令上の作成義務はあることから、実務上は「特記事項なし」として附属明細書を作成するか、事業報告書本体に附属明細書を作成しない旨を記載する等の対応が必要となるものと考えられる。 |
また、この103条2項の同様の定めが会社法施行規則会社法施行規則第128条にあります。ここでは、「事業報告の附属明細書」の内容について、「事業報告の内容を補足する重要な事項をその内容とするものでなければならない」と規定した上で、具体的には「会社役員の他の会社の業務執行取締役等との兼職状況の明細」と「親会社等との間の取引に関する事項」を規定している。
<原文確認>
「事業報告の附属明細書」では、この原文は私学法103条第2項にあります。
(計算書類等の作成及び保存) 第103条 学校法人は、文部科学省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。 2 学校法人は、毎会計年度終了後3月以内に、文部科学省令で定めるところにより、各会計年度に係る計算書類等(計算書類(貸借対照表及び収支計算書をいう。以下同じ。)及び事業報告書並びにこれらの附属明細書をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。 3 計算書類等は、電磁的記録をもつて作成することができる。 4 学校法人は、計算書類を作成した時から10年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。 |
私学法103条と同様の規定が会社法435条にあります。
さらにこの私学法103条第2項の説明は、私学法施行規則29条第3項にあります。
第2節 事業報告書 第29条 法第103条第2項(法第152条第6項において準用する場合を含む。)の規定による事業報告書及びその附属明細書の作成については、この条の定めるところによる。 2 事業報告書は、次に掲げる事項をその内容としなければならない。 一 当該学校法人(法第152条第6項において準用する場合にあつては、準学校法人)の状況に関する重要な事項(計算関係書類(計算書類及びその附属明細書をいう。以下同じ。)の内容となる事項を除く。) 二 法第36条第3項第5号(法第152条第6項において準用する場合を含む。)の体制の整備についての決議があるときは、その決議の内容の概要及び当該体制の運用状況の概要 3 事業報告書の附属明細書は、事業報告書の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない。 |
今日は、ここまでです。