周辺会計の会計処理【新基準】新しい注記事項

2025年02月12日

固定資産計上の引渡基準とは?

引渡書25946889今日は、ある高校法人からのご質問です。

 

<Q>固定資産計上の引渡基準とは?

校舎を建設中ですが、3月末に校舎が完成すると会計では、引渡基準で校舎を計上するようです。どうして引渡基準で固定資産の計上をするのですか?

また、引渡基準を使えとどこかに書いてあるのですか?

 

<A>

 1.引渡基準とは

 まず、イメージを持ってもらうために引渡基準を簡単に説明すると、物を買ったときに、いつ自分の物になったかを決める会計ルールのことです。引渡基準は、「自分の物になった日」に固定資産を計上する基準です。校舎の引き渡しなら、新校舎が完成して、新校舎の鍵の受け渡しがあったときが引渡です。

 このように校舎が実際に学校法人の支配下に移り、使用できる状態になった時点で固定資産を計上する引渡基準を採用すれば、学校法人としては教育・研究活動に貢献する資産を適切に把握して、財務状況を正確に表すことができるようになります。

 

2.引渡基準採用の理由

 引渡基準の採用理由は、先の校舎の引き渡しなら、新校舎の鍵の受け渡しでした。このように引渡基準採用の理由は、わかりやすくて、明確です。

 もう少しきちんと説明します。固定資産の購入を引き渡し基準で認識する主な理由は、以下の通りです。

(1)支配の移転

 学校法人の支配下に移り、使用できる状態になった時点で固定資産を計上する引渡基準を採用すれば、買い手は固定資産の使用や処分に関する権利と責任を負うため、経済的な実態を反映した会計処理を行うことができます

(2)客観性と確実性

引き渡しという客観的な事実に基づいて認識するため、取引内容がはっきりとわかります。

(3)収益との対応

 学校では、あまり意識しませんが資産は、将来の収入獲得に貢献する資産です。引渡基準で固定資産を認識することで、減価償却の開始と収入との対応関係を明確にすることができます。

 

3.引渡基準の根拠

(1)学校法人会計

 学校法人会計の会計ルールに明確な形で引渡基準は書いてありません。

 間接的に、会計士協会の公表物「固定資産に関するQ&A(研究報告20号)」の「34未使用期間等の減価償却」あたりが引渡基準に触れています。

 学校会計に直接的に定めがないので税法を見てみます。

(2)法人税法

固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日(法基通2 - 1 - 2 )の属する事業年度の益金とするとあります。

(3)企業会計

 企業会計では、引渡基準は収益計上基準の場面で登場します。 一例ですが、企業会計原則注解では、

[注7]工事収益について(損益計算書原則三のBただし書)

 (2)工事完成基準

工事が完成し,その引渡しが完了した日に工事収益を計上する。

 

 今日は、ここまでです。



kaikei123 at 07:00│Comments(0)

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