2025年01月24日
【基本金の組入計算】法人全体で計算vs部門別計算
こんにちは!今日は、ある大学法人でのご質問です。
<Q>基本金組入は、全体全体で計算vs部門別計算
当法人では幼稚園から大学まで複数の設置学校があります。学内で基本金の組入・取崩計算を法人全体で行うべきか、部門別に行うべきか議論しています。制度的には、どうなっていますか?
<A>
1.文科省の省令や通知では?
基本金の組入・取崩を法人全体で行うか、部門別に行うかは、学校法人会計基準や文科省の通知類では、明確に述べられていません。ただ、4号基本金については、文部大臣裁定により、法人全体の事業活動収支計算書を利用して計算していることから法人全体で計算することが予定されていると考えられます。
2.会計士協会は?
会計基準の設置主体ではありませんが、会計士協会の公表物では、第4号基本金は原則として法人全体で(研究報告15号2-14)、第1号から第3号の基本金は原則として部門別に組入計算をすると整理しています(研究資料第1号Q3、研究報告15号3-7)
研究資料1号
第1号〜第3号基本金と第4号基本金の部門別組入方法の相違
Q3 Q&A第16号の改正をみると、第1号から第3号までの基本金と第4号基本金では、組入方法の原則論(部門別か法人全体か)が異なるように思われます。これには理由があって、このような取扱いにしているのでしょうか。
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A 従来からの取扱いを変更したものではなく、第4号基本金は原則として法人全体で、その他の号の基本金は原則として部門別という前提に基づいて整理している。
第4号基本金は法人全体で計算することが予定されていることから、Q&A第16号2−14においては「法人全体で計算するのが原則で、会計単位及び資金が部門別に独立している場合は計算を部門別に行うこともできよう」と記述されている。これは、第4号基本金は、文部大臣裁定により、法人全体の消費収支計算書を基に計算されることに基づいている。一方、Q&A第16号3−7において、改正前では、「部門別に判断しても差し支えなく」とされていたが、改正後は「原則として部門別に判断することとなる」との表現になっており、部門別の判断の程度が強まっているように読めるものの、文管企第250号などによる部門別計算の趣旨に基づいて記載されており、今回の基準改正により従来の考え方を変えたわけではない。
学校法人委員会研究報告第15号
3−7 基本金の取崩しと部門別把握
Q 基本金は、諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、部門別に組入れを行うことになっていますが、基本金を取り崩すかどうかの判断、すなわち今後資産を継続的に保持するかどうかの判断も部門別に行うのでしょうか。 |
A 基本金要組入額は、原則として基本金の設定対象資産と結び付けて算定され、基本金の組入計算も各法人の実態に応じて部門別に行うこととなっていることから、基本金の取崩しについても原則として部門別に判断することとなる。
しかし、基本金の設定対象資産を複数の部門で共用したり、使用する部門が変更されることもあるため、学校法人がその諸活動の計画に基づき必要な資産を法人全体をもって判断し、継続的に維持すべき金額を基本金としている場合には、基本金の取崩しについても法人全体をもって判断することも認められよう。
今日は、ここまでです。