2024年08月15日
【改正私学法】監事と会計監査人の会計監査の関係は？
こんにちは！今日は、ある大学法人で改正私学法のご質問です。
＜Ｑ＞【改正私学法】監事と会計監査人の会計監査の関係は？
監事の財産監査と会計監査人の会計監査は、どのような関係になるのでしょうか？
＜Ａ＞
会計監査人を置く学校法人の場合、計算関係書類及び財産目録に関する会計監査は会計監査人が行い（改正私学校施行規則34条)、監事は、会計監査人による会計監査の方法及び結果の相当性などを監査することになります（改正私学法施行規則35条)。監事と会計監査人の連携や監査重点事項の策定などにより、監事及び会計監査人による監査機能の実効性を確保することが重要になります。
参考：「私立学校法の改正について（2024.7.8版）」p215
※会計監査人の会計監査と監事の財産監査
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会計監査人設置学校法人（改正私学法104条） |
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会計監査人の会計監査 |
監事の財産監査 |
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計算関係書類及び財産目録に関する会計監査は会計監査人が行う（改正私学校施行規則34条) |
監事は、会計監査人による会計監査の方法及び結果の相当性などを監査する（改正私学法施行規則35条) |
＜発展＞
改正私学法の104条に監事の財産監査と会計監査人の会計監査との定めがあります。
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（計算書類等の監査等） 第104条 計算書類等は、文部科学省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。 ２ 前項の規定にかかわらず、会計監査人設置学校法人においては、計算書類及びその附属明細書については、文部科学省令で定めるところにより、監事及び会計監査人の監査を受けなければならない。 ３ 前2項の監査を受けた計算書類等は、理事会の決議による承認を受けなければならない。この場合において、当該承認は、監査報告（会計監査人設置学校法人にあつては、会計監査報告を含む。次条第1項及び第106条において同じ。）の内容を踏まえて行うものとする。 |
この104条の解説は、松坂先生の逐条解説私立学校法（2024.3学校経理研究会）p649-651を引用（5は加工あり）させていただきます。
監事の監査と会計監査人の監査の関係については以下の通り。
１ 会計監査人設置学校法人においては、公認会計士等会計の職業的専門家である会計監査人が計算書類等の会計監査を行うことを前提に、監事は、その会計監査人が行った会計監査の方法とその結果の相当性について監査意見を形成することとなる。一般に会計事務の専門家ではないことも多い学校法人の監事には、会計基準や公認会計士協会による実務指針を踏まえた会計処理を適正に監査することには相当の困難さを伴うものであり、であればこそ、特に規模の大きな学校法人においては、会計監査人を置くことを義務づけることにより、公認会計士等が専門的知見と実務経験に基づき、独立かつ公正不偏の立場から、職業専門家としての正当な注意を払って適切な監査手続を実施していくこととされているのである。
したがって、監事は、会計監査人による監査の方法又は結果について「相当でない」と認めたときに、その旨及びその理由を監査報告に記載することとなる。
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しかしながら、監事が会計監査人による会計監査の結果を鵜香みにしてよいということではなく、監事の職務として当然に計算書類に記載された財産等の状況が適正であるかどうかについて自ら検証しなければならない。監事の職務は会計監査（決算監査）に限定されるものではなく、業務監査と一体として行われるものであることから、監事（特に常勤の監事）は、その常勤性を生かして、日々の業務の中で受けた理事や職員からの報告や説明を踏まえ、法人の財産等の状況について自らの判断を行った上で、会計監査人による会計監査の結果との間で重要な齟齬がないかどうかを確認することが求められているのである。
すなわち会計監査人に期待される会計的専門知識による監査手続を単に繰り返すのではなく、監事の独自の視点により監査を行うことが期待されているのであり、監事と会計監査人が役割分担をしながら計算書類等の監査という作業を行うこととなるものである。
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また、監査の事項によっては、学校法人の業務に精通している監事が行うことが、独自に重要な意味を持つ場合もあるものと考えられる。例えば、学校法人の出資による会社に係る事項や関連当事者との取引の状況等に関する計算書類への注記などが、事実に基づき適切に監査されているかどうかの監査など、業務の実態を知る監事だからこそ期待できる監査があるのである。
4 このように、監事は、会計監査人の行った監査結果について、自らが掌握している経営実態についての認識及び自らが実施した計算書類の監査結果との間で評価の異なる重大な問題はないかどうかを判断する。併せて、会計監査人が公正な態度で独立の立場を保持し、職業専門家として適切な監査を実施しているか、その監査の方法を監視、検証することで、計算書類の適正性が担保されることとなる。
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これらの監査の手順については、概ね次のような手順となるものと考えられる。
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会計監査人 |
・会計監査人は、計算書類及びその附属明細書を監査し、会計監査報告を作成し、監事及び理事にその内容を通知する。 ・また、会計監査人は、その独立性や法令遵守等、職務の遂行に関する事項についても、監事及び理事に通知する。 |
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監事 |
・監事は、会計監査報告を受領した日から1週間以内に、監査報告を作成し、その内容を理事及び会計監査人に通知する。 |
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理事 |
・理事は、会計監査報告及び（監事の）監査報告を踏まえて、理事会において計算書類等について決議による承認をする。 |
今日は、ここまでです。
