2024年06月28日
【改正私学法】学校内の重要ポストの選任・解任!
<Q>【改正私学法】学校内の重要ポストの選任・解任権
寄附行為の変更案を作っています。関連して改正私学法には、36条第3項第3号の「その他の重要な役割を担う職員」とは誰のことですか?
改正私学法 (理事会の職務等) 第36条 理事会は、全ての理事で組織する。 2 理事会は、次に掲げる職務を行う。(以下、略) 3 理事会は、学校法人の業務に係る次に掲げる事項の決定を理事に委任することができない。 一 重要な資産の処分及び譲受け 二 多額の借財 三 学校法人の設置する私立学校の校長その他の重要な役割を担う職員の選任及び解任 |
<A>
皆様がご存知のように改正私学法では、校長(学長・園長)の選解任権は理事会に法定されました(理事会の必要的決定事項)。もう一つ「その他の重要な役割を担う職員」の選解任権も理事会と法定されています。ただ、ここで言う「その他の重要な役割を担う職員」の範囲がはっきりしません。
文科省の説明資料「私立学校法の改正について」(2024.6.14版)p109では、「具体的にどの職員が該当するかについては、各学校法人の規模や実情に応じて判断することになります。学部長が必ずしも該当するわけではないと考えています。」とあります。しかしもっと具体的な情報があると助かります。そこで松坂先生の「逐条解説私立学校法四訂版(暫定版)」p302を参考にして説明します。
3 学校法人の設置する私立学校の校長その他の重要な役割を担う職員の選任及び解任 「重要な役割を担う職員」の範囲について、会社法第362条第4項第3号に規定する「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」では、その具体的な「重要性の判断基準は(中略)具体的事案ごとの総合的判断(同)」である、一般には、支店長、本店部長等は、その他の重要な使用人に該当する場合が多いであろう(同)」とされている。 学校法人においては、設置する私立学校の校長(学長及び園長を含む。)が該当するほか、大学においては副学長や事務局長など、法人としては理事以外の者が就任している場合の学園長、学院長、総長、法人事務局長などは含まれるものと考えられるが、具体的な「重要な役割を担う職員」の範囲については、法人の内部規程で定めることとなる。 (注)なお、学園長や法人事務局長が評議員となる場合には、これらの者は本項の規定により理事会において選任される者であることから、第62第5項の規定による第1号評議員(職員評議員)となるとともに、第2号評議員(理事会選任評議員)ともなることとなる。 |
なるほど、具体的な「重要な役割を担う職員」の範囲については、法定せず学校法人の自主性を重んじ(私学法1条)、法人の内部規程に実務の運用は任される訳です。最後にまとめの図表を付けておきます。
図表 理事会決議の学内重要ポストの選任・解任権の範囲
改正私学法の文言 |
解釈 |
例示 |
36条3項3号 「重要な役割を担う職員」 |
具体的な範囲については、法人の内部規程で定める |
・設置する私立学校の校長(学長及び園長を含む。)が該当する ・大学においては副学長や事務局長など ・法人としては理事以外の者が就任している場合の学園長、学院長、総長、法人事務局長など |
今日は、ここまでです。