2024年04月17日
【減価償却の方法】定率法が利用できる場合
こんにちは!今日は、高校法人の銀行出身の事務長さんからのご質問です。
<Q>【減価償却の方法】定率法が利用できる場合
学校の会計では、減価償却の計算は定額法を用いていますが、定率法を使うことはないのですか。
<A>
通常の学校法人では定率法を使えるのは私学法上の収益事業を営む場合の収益事業会計の場合だけです。個人立幼稚園は、定率法の適用が可能です。
<発展>
学校会計では、減価償却額の計算方法は定額法によっています。これは、基準26条2項に「2 減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によるものとする。」とあるからです。ただ、例外的に定率法が認められる場合もあります。細かく言うと基準では、減価償却の方法で定率法を認める場合を3つあげています。
(1)
収益事業(私立学校法第26条による収益事業)の会計
収益事業会計については、基準3条2項で、基準1条・2条・3条第1項の規定を除いて学校法人会計基準に従わなくてもよいことになっています。ですから基準26条2項の適用除外となっていますので定率法も可能と言うわけです。
次の(2)(3)は昭和51年に私立学校振興助成法の制定に伴って基準の改正が行われ加えられた附則3、4で基準の例外的な取り扱いです。
(2)基準適用初年度の知事所轄学校法人
まず基準附則3です。ここでは、知事所轄学校法人で、学校法人会計基準が初めて適用される場合、その年度末において有している減価償却資産については、定額法以外の方法によることができるとしています。もう少しわかりやすく言うと、初めて学校法人会計基準を適用する知事所轄学校法人では、基準適用初年度末に所有している資産で既に定率法で減価償却を実施しているものについては、その資産に限り、償却が終わるまでの間は定率法によって償却することができることとしました。
(3)学校法人立ではない個人立の幼稚園など
基準の附則4では「当分の間、‥‥学校法人以外の私立学校の設置者に対する第26条第2項の規定については、同項中「定額法」とあるのは、「定額法又は定率法」とする。」との定めがあります。ですから例えば、個人立の幼稚園は学校法人立ではないので定率法の適用が可能と言うことになります。基準を使っていない幼稚園は通常、税法会計を利用していることが多く、この点を考慮して定率法を認めました。ただ、ここでの「当分の間」は昭和51年に始まって現在でも続いています。
今日は、基準附則の解釈は、野崎先生の新版学校法人会計基準詳説(H2年第一法規)をパラパラと参考にさせていただきました。
学校法人会計基準 (減価償却) 第26条 固定資産のうち時の経過によりその価値を減少するもの(以下「減価償却資産」という。)については、減価償却を行なうものとする。 2 減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によるものとする。 附 則 3 学校法人が前項に規定する会計年度の末日に有している資産に係る評価及び減価償却の方法については、第25条及び第26条第2項の規定によらないことができる。 4 当分の間、学校法人のうち、法附則第2条第項に規定する学校法人以外の私立の学校の設置者に対する第26条第2項の規定の適用については、同項中「定額法」とあるのは「定額法又は定率法」とする。 |
今日は、ここまでです。