2024年03月18日
【改正私学法】評議員の割合規制?
こんにちは!ある高校法人で寄附行為の改定作業を始めました。今日は、そこでのご質問です。
<Q>【改正私学法】評議員の割合規制?
改正私学法では、評議員の割合規制が出てきますが、よく整理できません。
<A>
寄附行為作成例には、直接出てきませんが、評議員の割当規制は大切です。全般的なことを言うと、理事を選任する人事権、評議員を選任する人事権については、学校法人に経営に関わることで極めて重要です。今日は、特に評議員の人事に関するご質問です。
理事会の場合の割合規制は、「他の理事のいずれかと特別利害関係を有する理事の数は、理事の総数の1/3
まで」(改正私学法37条7項)というものがありました。今回は評議員の構成で、割合を問われるものですが、根拠条文は改正法62条5項にあります。
(評議員の資格及び構成) 第62条 ‥‥‥‥ 5 評議員の構成は、次の各号のいずれにも該当するものでなければならない。 一 第3項第1号に掲げる者である評議員の数が評議員の総数の3分の1を超えないこと。 二 理事又は理事会が評議員を選任する場合において、当該評議員の数が評議員の総数の2分の1を超えないこと。 三 役員又は他の評議員のいずれかと特別利害関係を有する者並びに子法人役員及び子法人に使用される者である評議員の数の合計が評議員の総数の6分の1を超えないこと。 |
↓もう少し話し言葉で言うと
1 職員である評議員は、評議員の総数の1/3を超えてはならない。 2 理事、理事会が選任する評議員は、評議員の総数の1/2を超えてはならない。 3 役員や他の評議員と特別利害関係を有する者、子法人役員、子法人に使用される者である評議員は、評議員の総数の1/6を超えてはならない。 |
個別に確認していきます。
■割合規制1:職員評議員の数は、評議員総数の1/3まで。
現行法では、極端な話、評議員の1号から3号評議員まで、全員が職員を言うことも可能でした。しかし改正法では、職員1/3ルールが導入されました。意外と影響が大きそうです。
評議員会 職員評議員 ● ● ● ←1/3までならOK。 他の評議員 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 |
■割合規制2:理事、理事会が選任する評議員の数は、評議員総数の1/2まで
この割合規制の趣旨は、評議員会には基本的に理事会を監視監督することが期待されるために、監視される理事・理事会(理事会側)の影響割合を評議員総数の1/2以下としました。
評議員会 理事・理事会が選任した評議員 ● ● ● ● ● ←1/2までならOK。 他の評議員 〇 〇 〇 〇 〇 ←充て職評議員に注意! |
気になるのは、充て職の評議員です。事務長が寄附行為に従って充て職で評議員になりました。この場合、事務長の選任を理事会が行っていれば、理事・理事会が選任した評議員(●)になります。ちょっといやらしい言い方になりますが、理事会の息のかかった評議員は、半分までと覚えておくとイメージが湧きます。理事サイド評議員1/2ルールです。逆から言うと評議員の半数は、学外者と言っても良いでしょう。
■割合規制3:役員や他の評議員と特別利害関係を有する者、子法人役員、子法人に使用される者である評議員は、評議員の総数の1/6を超えてはならない。
ただし、附則2条2項に、1/3とする経過措置があります。
評議員会 図解困難のため略 |
今日は、ここまでです。