2022年09月14日
減価償却特定資産の不足がわかる財務比率は?
<Q>減価償却引当特定資産の不足がわかる財務比率は?
当法人では、引当特定資産の積立がありません。特に減価償却引当特定資産が気になるのですが、何か積立の良否がわかる財務比率は、ありますか?
<A>
特定資産は、使途が特定された預金等で(基準別表第三)
、減価償却引当特定資産の場合は、保有する建物などの減価償却資産の建替えや設備の取替えのための資金として繰り入れます(繰入は、積立にほぼ同義語)。
さて、ご質問の減価償却引当特定資産の積立不足(≒繰入不足)がわかる直接的な、財務比率はありません。
学校法人独自の指標として、減価償却累計額を100とした場合の減価償却引当特定資産の比率を算出してみて(仮名称:減価償却引当特定資産の繰入比率)建替え資金・設備の更新資金の準備度合いをみることがよいでしょう。
なお、関連する財務指標として「積立率」がありますが、こちらは、学校法人を永続的に維持するために保有すべき要積立額に対し、実際にどの程度、運用資産として保有しているかを把握する比率で、減価償却引当特定資産の積立の過不足を直接的に表す指標では、ありません。
<発展>「積立率」
私学事業団の「令和3年度 今日の私学財政」によると
【計算式】 運用資産÷要積立額 *運用資産=特定資産+有価証券(固定資産)+有価証券(流動資産)+現金預金 要積立額=減価償却累計額(有形固定資産)+退職給与引当金+第2号基本金+第3号基本金 【比率の解説】 学校法人の経営を持続的かつ安定的に継続するために必要となる運用資産の保有状況を表す。 この比率では、長期的に必要となる資金需要の典型的なものとして、施設設備の取替更新と退職金支払に焦点をあてており、要積立額を有形固定資産の減価償却累計額、退職給与引当金、第2号基本金、第3号基本金の合計額としている。その一方で運用資産の内容は、学校法人ごとに特定資産の使途の指定状況が一様ではないことから、換金可能な金融資産、すなわち特定資産、有価証券(固定資産及び流動資産)、現金預金の合計額と幅広く捉えている。 そのため算定式の分子・分母に使途の異なる要素が混在することとなるが、ここでは学校法人全体の財政状況の全体的な把握を主眼に置いており、個別目的に対応した資産の保有状況を測るものではない。一般的には比率は高い方が望ましいが、例えば学校法人の将来計画において部門の規模縮小や廃止等が予定されている場合には、その分の施設設備の取替更新等が不要となるため、算定式から不要分に係る要素を除外して試算してみる等、この算定式から得られる結果のみに捉われず各学校法人の状況に応じた試算を併用することも比率の活用の上では重要である。 |
今日は、ここまでです。