2020年11月11日
【表示】ちょっと書きづらい「日本学生支援機構の新型コロナウイルス感染症対策助成金の会計処理」
こんにちは！今日は、よく学校で聞かれるＪＡＳＳＯの助成金のご質問です。
＜Ｑ＞【表示】ちょっと書きづらい「日本学生支援機構の新型コロナウイルス感染症対策助成金の会計処理」
多くの大学、短大、専門学校が日本学生支援機構（略称：ＪＡＳＳＯ）から受け取った新型コロナウイルス感染症対策助成金の会計処理はどうなりますか？
＜Ａ＞
学校法人会計のルールによると、寄付金収入（事業活動収支計算書は、特別寄付金）か雑収入になりそうです。
ただ、ＪＡＳＳＯさんでは、寄付金収入で考えているようです。
＜少し説明＞
無償で受け取るお金は、学校法人会計では、補助金収入、寄付金収入、雑収入の可能性があります。
学校会計の復習をしてみます。
１．学校法人会計のルール確認
補助金も寄付金も一部の雑収入も第３者からの贈与である点は同じです。
ですが、この３者はどこが違うのでしょうか。
ヒントは、会計士協会の実務指針39号の寄付金の定義が役立ちます。
| 補助金収入(国又は地方公共団体からの助成金のほか、国又は地方公共団体からの資金を源資とする間接的助成金である日本私立学校振興･共済事業団及びこれに準ずる団体からの助成金を含む｡)に該当しない金銭その他の資産の贈与又は助成を受けたときは、雑収入として処理された祝い金等を除き、寄付金収入として処理するものとする。 |
これを図解すると
| 科目 | 内容 |
| �� 補助金 | 国又は地方公共団体からの助成金のほか、国又は地方公共団体からの資金を源資とする間接的助成金である日本私立学校振興･共済事業団及びこれに準ずる団体からの助成金を含む｡ |
| �� 寄付金 | �� 、�０奮阿龍眩�その他の資産の贈与又は助成 |
| �� 雑収入 | 金銭その他の資産の贈与又は助成を受けたときは、雑収入として処理された祝い金等 |
つまり、�（篏�金の定義→��雑収入→��寄付金と、消去法定義になっています。
２．ＪＡＳＳＯの新型コロナウイルス感染症対策助成金の表示検討
消去法なので、まずは「補助金」の検討から。
（１）補助金の検討
学校会計の補助金は、国又は地方公共団体からの助成金（間接助成も含む）ですか。今回の助成金は、ＪＡＳＳＯの事務取扱要領を見ると「本助成事業は、この有志の企業及び個人の皆様方からの御寄附を活用し、各大学等において新型コロナウイルス感染症対策として実施される学生等への多種多様な経済的支援の取組に対して、その事業費の一部または全部を助成し、もって各大学等における各種支援の更なる進展の一助となることを目的として実施するものです。」
どうも財源は、国や地方公共団体ではありませんので、補助金収入には該当しません。
消去法の次の検討は「雑収入」かです。
（２）雑収入の検討
学校会計の雑収入のて定義は、「金銭その他の資産の贈与又は助成を受けたときは、雑収入として処理された祝い金等」とあります。
ＪＡＳＳＯの助成金は、金銭の助成なので、学校会計的には雑収入もありということになりそうです。
消去法の最後の検討は「寄付金」です。
（３）寄付金の検討
上記（２）雑収入の検討で、ＪＡＳＳＯの助成金を雑収入とするにはピンとこない場合は、寄付金収入は消去法定義なので、寄付金収入もありです。今回の助成金は、「新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、経済的に困窮している学生等に対し、引き続き継続的な支援を行うことを目的」としているので事業活動計算書では、使途特定の特別寄付金になってくるでしょう。
また、今回の助成金は何となく私学事業団の受配者指定寄付金の寄付金スキームにも似ています。私学事業団の受配者指定寄付金なら、寄付金収入（事業活動収支計算書は特別寄付金）でした。
３．実務
学校会計的には、ＪＡＳＳＯの補助金は「寄付金」か「雑収入」になりそうです。どちらも間違いとは言えません。公認会計士さんでも経常費補助金のような多額の金額にはならないため、おそらくどちらの科目でも決算書の修正までは求めてこないでしょう。
ただ、ＪＡＳＳＯさんは寄付金収入と考えているようだとのお話もあり無難に会計処理したい学校、他にも雑収入は大きくすべきでないと考える学校、受配者指定寄付金のスキームのような助成金だと感じる学校などは、寄付金収入で取り扱うことになってくるでしょう。
今日は、ここまでです。
