2019年07月10日
【食育】学校と食育
こんにちは!今日は、幼稚園法人の評議員さんからのご質問です。
<Q>【食育】学校と食育
幼稚園では、食育ということばを使いますが、高校や大学ではどうでしょうか?
<A>
学校会計の法規集では、ほとんど説明できないご質問のため、あくまでも参考回答です。
食育という言葉を使うのは、幼稚園(幼稚園教育要領が根拠)から小学校・中学校・高校(各学習指導要領が根拠)です。
学校で食育が推進される背景には、平成17年施行の食育基本法が影響しているようです。食育基本法は、家庭や学校における食育の推進、伝統的な食文化の継承、生産者と消費者の交流促進などを目的としています。そして、その前文で家庭、学校、保育所、地域等を中心に、国民運動として、食育推進に取り組んでいくことを提唱しています。
<少し説明>
1.幼稚園
幼稚園教育要領に「食育」の言葉がみられます。
また、税務の詳しい方は、消費税の取り扱いで幼稚園の食育をみたことがあるでしょう。
2.小学校、中学校、高校
小学校、中学校、高校の各学習指導要領に「食育」が出ています。
(発展:学校給食)
学校給食法は、「学校給食の普及充実および学校における食育の推進を図る」ことを目的とする法律です(第1条)。ここでの学校は、義務教育諸学校(小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の小学部・中学部をいう。)となっています(第3条)
また、平成20年の学校保健法等の一部改正で、学校での食育推進を図る観点から、学校給食法上に、栄養教諭がその専門性を生かして学校給食を活用した食に関する指導を行うことなどが規定されました。ただ、栄養教諭の配置は、必置とまではなっていません。
3.大学
学生の健康は大切ですが、教育の一環としての食育は明記されていないようです。
<予備知識>
1.広辞苑第六版より引用
しょく‐いく【食育】
食材・食習慣・栄養など、食に関する教育。食生活の変化を背景として2000年頃から広くいう語。
2.<参考>「食育」の起源
「食育」という言葉の語源は、明治31年(1898年)に初版された石塚左玄著「食物養生法」に「学童を養育する人々は、その家訓を厳しくして、体育、智育、才育はすべて食育にあると考えるべき」と述べています。
→農林水産省 食育 - 農林水産省
3.第3版学校教育辞典p448〜449(H26教育出版株式会社)から
食育
〔語義〕近年、食に対する関心が高まる一方で、様々な食をめぐる課題がある。例えば、人が摂取している食物の質、種類、摂取量によって様々な年代の健康に異常をきたしている。また食の安全に対する不安と不信感生産者と消費者の共生と交流の欠如による地域生産物の消費量の減少がある。その結果、食糧の自給率の低下は先進国の間でも最低のレベルにある。この課題を憂慮し、国は食の周辺を大きく抱き込んだ生活全体の教育を、すべての年齢層の人を対象とした活動として平成17年に食育基本法を制定し、国を挙げての啓発を始めた。
〔展開〕(略)
〔課題〕平成23年度より、学習指導要領の改訂により、学校教育の中に食育の導入が要求されている。食育の実施教科として家庭科、保健、体育、給食指導などが挙げられているが、さらに学校全体で食育の取り組みをすることも要求されている。これには各教科の中で、それぞれの担当者が食育を導入できる単元を調べ、その中で栄養教諭との連携で食育を展開することも可能である。(……以下、略) (坂本元子)
今日は、ここまでです。