2019年06月13日
【制度】財団法人が学校法人に変わった理由
<Q>【制度】財団法人が学校法人に変わった理由
学校法人は、もともと財団法人でしたが、どうして学校法人になったのでしょうか?
<A>
だいたいのご回答です。
確かに私立学校の設置者は、戦前の法令では、大学、専門学校、高等学校、中学校については旧民法の財団法人でした。
しかしながら、旧民法の財団法人は、法人運営が少数理事の専断に陥りやすく、法人運営に教育者の意思が反映されないおそれがある等の欠点がありました。
そこで、法人運営の不備を補い私立学校の公共性を高めながら、他方で私立学校の自主性を重んじる私立学校法が昭和24年に制定され私立学校の設置を目的とする学校法人が創設されました。
<発展>
戦前の話ですが、私立学校法が制定される前の旧財団法人が設置者であった当時の問題点を見てみます。
松坂先生の逐条解説私立学校法(改定版)のp132〜133です。
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学校法人制度の創設の背景について、本法制定時には次の通り解説されている(詳説117頁←福田繁・安嶋彌著「私立学校法詳説」玉川大学出版部)。
財団法人制度の欠陥
従来、私立学校の設置主体は、原則として民法の規定による財団法人でなければならなかった(学校法2条、102条)。ところで、私立学校は、私立学校の設置主体を学校法人でなければならないこととしたが、これは、財団法人が私立学校の設置主体としてふさわしくない種々の欠陥を有するものであった点に基くものである。私立学校の設置主体を財団法人とする制度の欠陥として、従来指摘されてきたものは、おおむね次のようなものである。
(1)寄附の精神が不徹底であること。
(イ)名誉欲、利欲のための寄附があること。
(ロ)財産を寄附した後も自己の財産と同様に考える者があること。
(ハ)寄附を投資と考える者があること。
(ニ)役員となることを利権のように考える者があること。
(ホ)財産の保全、免税の目的を含むものがあること。
(2)財団の基礎が薄弱であること。
(イ)基本金が少な過ぎてその効用が少ないこと。
(ロ)営利的経営に陥り易いこと。
(3)制度的にも欠陥があること。
(イ)財団の運営が少数理事の専断に陥り易いこと。
(ロ)役員が特定の同族によって占められる可能性があること。
(ハ)財団の合併が認められていないため、学校の合併等に際して不都合な点があること。
(ニ)残余財産がかつての寄附者に帰属することを認めることは、不合理であること。
(ホ)財団の運営について、教育的な観点が軽視される傾きがあること。
以上のような財団法人制度の欠陥にかんがみて、文部省においては、相当以前から私立学校の設置主体を特別法人とする必要のあることが認識され、昭和18年には学園法案(あるいは学団法案、学校法人法案とも呼ばれていた。)が起草されて、議会上程の寸前にまでなっていた。けれども、それは会期が短いからといった事務的な理由によって、ついに陽の目を見なかったといわれている。しかしながら、その法案の内容は、戦時中のことでもあり、統制的傾向のきわめて強いものであったから、終戦後情勢の変化に伴って、私立学校の設置主体を特別法人とするにしても、それは、従来のような監督権の強化という方向のものであってはならないことは当然であった。
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今日は、ここまでです。