2019年04月22日
【決算での質問6】為差損損の表示
<Q>【決算での質問6】為替換算差額(為差損損)の表示
海外研修の仮払金を精算したところ、為替の損が200出ました。決算書では、どのように表示するのでしょうか?
<A>
事業活動収支計算書では、(大科目)その他の教育活動外支出。(小科目)為替差損又は為替換算差額となるでしょう。
<説明>
為替差損の説明は、学校法人会計基準にはありませんが、実務指針45号2-1に少し説明があります。ここでは、「2−1 教育活動外収支に計上される財務活動」の回答で、「外国通貨及び外貨預金の本邦通貨への交換や外貨建債権債務の決済の際に生ずる為替換算差額、外貨建債権債務等につき期末日の為替相場に換算する場合に生ずる為替換算差額等については、「教育活動外収支」に計上する。」とあります。為替換算差額を財務活動の一環として、教育活動外収支に計上するわけです。
ですが、大科目の指定までありません。教育活動外収支の部の事業活動支出の大科目は、「借入金等利息」と「その他の教育活動外支出」の2つです。ここで「借入金等利息」の小科目は、借入金利息と学校債利息に限定されています。ですから大科目は、(大科目)その他の教育活動外支出になります。
為替の換算損は、外貨建取引等会計処理基準(大蔵省企業会計審議会)を参考にすると、為替差損と表示されます。ただ、学校法人会計では、為替換算差額の表示でも良いでしょう。実務指針45号2-1は、(小科目)為替差損と表示を指定していません。
※基準の事業活動収支計算書の教育活動外収支(第五号様式の抜粋)です。
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| 科目 | 予算 | 決算 | 差異 |
教育活動外収支 | 事業活動収入の部 | 受取利息・配当金 |
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第3号基本金引当特定資産運用収入 |
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その他の受取利息・配当金 |
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その他の教育活動外収入 |
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収益事業収入 |
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(何)←為替差益、為替換算差額 |
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教育活動収入計 |
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事業活動支出の部 | 借入金等利息 |
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借入金利息 |
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学校債利息 |
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その他の教育活動外支出 |
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(何)←為替差損、為替換算差額 |
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教育活動外支出計 |
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教育活動外収支差額 |
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また、資金収支計算書では、換算差額の分だけ支払資金が減少するので、(大科目)管理経費支出(小科目)為替差損支出又は為替差損のような科目が想定されます。資金収支計算書の小科目なので、為替差損としないで為替差損支出としたいところです。基準の第一号様式や別表第一では、資金収支計算書の支出の部の科目は、すべて「○○支出とな」っているからです。
最後に資金収支計算書の科目例の実際例のお話を少しします。学校では為替換算差額が僅少なことから実務では為替差益なら(大科目)雑収入の(小科目)その他の雑収入。為替差損なら(大科目)管理経費支出の(小科目)雑費支出に入っていることが多いようです。
<発展>
また、私学事業団の実務問答集の「154 外貨預⾦の評価損益の計上区分」には、同じようなQAがありますので、参考にするのも良いでしょう。
今日は、ここまでです。