2019年03月22日
【財務分析】高校法人の積立率を出したい!
<Q>高校法人の積立率を出したい!
私学事業団の月報私学2月号に積立率の説明がありました。高校法人の積立率の算出方法を教えて下さい。
<A>
それでは、私学事業団の「今日の私学財政」(高中小版)を利用して、標準的な高校の積立率を求めてみます。
※平成28年度(高校法人695校平均額)
区分 | 科目 | 金額(百万円) |
運用資産 | 有価証券(固定) | 117 |
特定資産 | 835 | |
現金預金 | 628 | |
有価証券(流動) | 36 | |
運用資産計(A) | 1,616 | |
要積立額 | 退職給与引当金 | 72 |
第2号基本金 | 88 | |
第3号基本金 | 45 | |
減価償却累計額 | 2,168 | |
要積立額(B) | 2,374 | |
不足額(B)−(A) | 758 | |
積立率(A/B) | 68% |
月報私学(2月号)には、積立率の直接的な説明はないのですが「運用資産と要積立額」として積立率の重要性を説明しています。
運用資産と要積立額 貸借対照表より、学校法人が本来積み立てておくべき減価償却累計額や退職給与引当金等の金額(要積立額)とそれに対応した特定資産や現金預金、有価証券などの運用資産の保有状況を分析します。 学校法人の安定的な経営のためには、施設・設備の拡充・更新や、教職員の退職金の支払い及び奨学金の支払い等の将来的に必要となる資金需要(要積立額)に対して十分な運用資産を保有していることが望ましいと考えられます。 |
やはり、積立率の説明を「今日の私学財政」から引用させていただきます。
20.積立率 【計 算 式】 *運用資産=特定資産+有価証券(固定資産)+有価証券(流動資産)+現金預金 要積立額=減価償却累計額+退職給与引当金+第2号基本金+第3号基本金 【比率の解説】 学校法人の経営を持続的かつ安定的に継続するために必要となる運用資産の保有状況を表す。 この比率では、長期的に必要となる資金需要の典型的なものとして、施設設備の取替更新と退職金支払に焦点をあてている。その一方で運用資産の内容は、学校法人ごとに特定資産の使途の指定状況が一様ではないことから、換金可能な金融資産、すなわち現金預金・有価証券(固定資産および流動資産)・特定資産の合計額と幅広く捉えている。 そのため算定式の分子・分母に使途の異なる要素が混在することとなるが、ここでは学校法人全体の財政状況の全体的な把握を主眼に置いており、個別目的に対応した資産の保有状況を測るものではない。 一般的には比率は高い方が望ましいが、例えば学校法人の将来計画において部門の規模縮小や廃止等が予定されている場合には、その分の施設設備の取替更新等が不要となるため、算定式から不要分にかかる要素を除外して試算してみる等、この算定式から得られる結果のみに捉われず各学校法人の状況に応じた試算を併用することも比率の活用の上では重要である。 |
今日は、ここまでです。