2018年03月12日
【基本金】少しだけややこしい基本金の繰延べの意味??
<Q>【基本金】少しだけややこしい基本金の繰延べの意味??
よく聞く基本金の繰延べですが、本当のところ、意味がわかりません。少し教えてください。
<A>
基本金の繰延べは、2つの場面で出てきます。基本金の繰り延べは、第1号基本金に限定されます。
2つの場面の理解がポイントです。
1.資産を除却し再取得までの繰延べ
除却又は売却した資産と同一種類の資産を再取得する場合に、資産を再取得するまで基本金を(取り崩さないで)繰り延べます。
資産を除却しても、再取得の計画があれば基本金の取崩をしません。
イメージ図:基本金明細表
(1)当年度に建物除却10
事項 | 要組入高 | 組入高 | 未組入高 |
第1号基本金 |
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前期繰越高 | 100 | 100 | 0 |
当期組入高 |
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建物除却 | △10 |
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翌年度基本金組入の繰延べ高 | 10 |
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計 | 100 | 0 | 0 |
当期期末高 | 100 | 100 | 0 |
(2)次年度に建物20を取得
事項 | 要組入高 | 組入高 | 未組入高 |
第1号基本金 |
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前期繰越高 | 100 | 100 | 0 |
当期組入高 |
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建物 | 30 |
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翌年度基本金繰延高の取崩し | △10 |
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計 | 20 | 20 | 0 |
当期期末高 | 120 | 120 | 0 |
2.借入による固定資産の取得
第1号基本金は,固定資産の取得財源が借入金や学校債または未払金であった場合、まだ自己財源で固定資産を取得していませんので基本金への組入れを翌年度以降に繰り延べることになります(基準第30条第3項)。借入や未払により固定資産を取得した場合には、その額を未組入高として繰り延べる訳です。この未組入高は貸借対照表の注記事項の一つでした。
自分の純粋の収入である事業活動収入のうちから組み入れた金額が基本金でした(基準第29条)。だから、固定資産の取得資金が、借入金又は未払金などの他人資金によっている場合には自己資金による取得とはいえないので、借入金又は未払金などの相当額を未組入額として繰り延べることになります。次年度以降にその借入金などの返済又は支払額相当額は、自己資金により取得したことになるので基本金を組入れすることとなります。
イメージ図:基本金明細表
(1)当年度に建物を借金で取得
事項 | 要組入高 | 組入高 | 未組入高 |
第1号基本金 |
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前期繰越高 | 100 | 100 | 0 |
当期組入高 |
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建物取得 | 10 |
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計 | 10 | 0 | 10 |
当期期末高 | 110 | 100 | 10 |
(2)次年度に借金返済
事項 | 要組入高 | 組入高 | 未組入高 |
第1号基本金 |
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前期繰越高 | 110 | 100 | 10 |
当期組入高 |
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過年度未組入れにかかる組入れ |
| 10 | △10 |
計 | 0 | 10 | △10 |
当期期末高 | 110 | 110 | 0 |
今日は、ここまでです。