2017年05月15日
【決算】建物の間仕切工事の耐用年数って何年?
<Q>【決算】建物の間仕切工事の耐用年数って何年?
この度、木造建物(耐用年数20年。経過年数15年)について大教室を2つの教室に分ける間仕切り工事を行いました。この場合、耐用年数はどうなるのですか?
<A>
建物建築後、いわゆる資産計上する資本的支出を行った場合の耐用年数の御質問です。考え方の手がかりは、会計処理について強制力をもつ「学校法人の減価償却に関する監査上の取扱い」(学校法人委員会報告第28号) から拾います。
まず、ここでは、固定資産の耐用年数の取扱いについて
(1)固定資産の耐用年数は、学校法人が固定資産の使用状況等を勘案して自主的に決定すべきものであるが、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(財務省令)又は参考として後掲する「固定資産の耐用年数表」によっている場合も、妥当な会計処理として取り扱うものとする。 |
とあり、耐用年数の決定に3つに場合を挙げています。
耐用年数の3つの決め方 | 計算例 |
(1)学校法人が固定資産の使用状況等を勘案して自主的に決定 | 建物本体20年−経過年数15年=5年 |
(2)「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(財務省令) | 建物本体と同じ20年 |
(3)28号の「固定資産の耐用年数表」 | 建物本体20年−経過年数15年=5年 |
そこで、3つの場合を具体的に見ていきます。
(1)学校法人が固定資産の使用状況等を勘案して自主的に決定
学校法人が使用状況等を勘案して自主的に決定できます。学校が残存使用可能期間を見積る訳です。
例えば、建物本体の耐用年数20年−経過年数15年=5年も可能なわけです。
但し、会計処理が恣意的ならないように経理規程で耐用年数決定のルールを決めておくことが必要になるでしょう。
(2)「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(財務省令)
企業会計で採用することが多いケースです。耐用年数省令の耐用年数表では、「建物」→「木造又は合成樹脂造のもの」→「店舗用、住宅用、寄宿舎用、宿泊所用、学校用又は体育館用のもの」で耐用年数は22年となります。
それと、ここで注意すべきは「耐用年数省令1−1−2」です。ここでは、「資本的支出は、本体と切り離して別個の資産として耐用年数を適用するのではなく、本体の耐用年数による」としています。つまり、建物(耐用年数20年)に資本的支出をした場合の耐用年数は、本体と同じ20年とするわけです。
(3)28号の「固定資産の耐用年数表」
ここでは、木造建物はシンプルに20年です。
(1)のように考えて20年−15年=耐用年数5年も使えます。どちらにするかは、耐用年数決定のルールを経理規程で定めておきます。
今日は、ここまでです。