2017年02月03日
【運営】評議員会の性格はどっち?
<Q>評議員会の性格はどっち?
当法人の評議員会は、理事会の諮問機関です。ですが、他法人では一部の事項については評議員会を議決機関としたり、有名大手大学では評議員会が議決機関そのものだと聞きました。
このへんの事情を教えてください。
<A>
評議員会は、理事会の諮問機関が原則ですが、寄附行為で定めれば議決機関となることもできます(私学法42条)。ただ、実例では、諮問機関としての評議員会が多いです。
評議員会の性格については、松坂先生の逐条解説私立学校法p309のお力をお借りします。松坂先生は、福田繁・安嶋彌著「私立学校法詳説」p174玉川大学出版部を引用されています。
学校法人は、特別の法人とはいえ、その本質においては財団法人的なものである。従って、学校法人の基本をなすものは、寄附者の出捐した財産であり、寄附者の設立精神である。そして、これらが基本となって、学校法人の運営がなされるべきものである。しかるに、評議員会を議決機関としてその権限を一律に強化することは、財団法人的性格をもつ学校法人の社団法人化という傾向を伴うものであって、ここに基本的な矛盾を生ずる。私立学校法が原則として評議員会を諮問機関としたのは、このような理由に基くものである。
しかるに、早稲田大学、慶應大学その他の大学を設置する財団法人においては、現在、評議員会といったものが相当強力な機関となっている。これは、 (一)大隈、福澤等の建学の精神は別として、当初に出損された設立者の財産が、現在の資産において占める比率は、微々たるものにすぎないということ、 (二)現在の資産のほとんどは、設立後において財団自らが生み出したものであり、あるいは卒業生その他の寄附をまつものであるということに、基く。また、 (三)これらの大学が、社団的といっては言葉が当たらないかもしれないが、事実上そのような性格を多分に有していることは、争えないように思われる。これらの大学において、評議員会といったものが強力な機関になっているのは、このような事実に基くものであろう。
私立学校法は、そこで以上の(一)から(三)までに掲げられた事項を、必要な場合には、寄附行為をもって評議員会の議決を要するものとすることができることとして(法42条2項)、以上の諸点の調和を図つたのである。 |
もう一つ小野先生の私立学校法講座p211も引用させていただきます。
評議員会が諮問機関とされたのは、学校法人の性格が寄附者の出捐財産をもとにした財団的なものであるため、評議員会の権限を一律に強化して議決機関とし、その社団法人化を招くことを防止したものである。一方で、学校法人の現有資産に占める寄附者の出捐財産の割合が少なくなっている場合には、学校法人の社団的性格が強まり、その実情に応じた法人運営を行う方が適切である場合もあるので、私立学校法第42条第2項において評議員会を議決機関とし得る旨の規定を設けて、両者の調整を図ったものであるとされている(文部省私学法令研究会編著『私立学校法逐条解説』pl44)。 |
どちらも同じ趣旨の説明です。
今日は、ここまでです。
トラックバックURL
この記事へのコメント
今後ともよろしくお願いします。
冒頭のリード文が,両方とも議決機関になっていますので
どちらかは,諮問機関でしょうか。