2016年09月22日
【寄附行為作成例39/45】(解散)第39条
こんにちは! 学校法人寄附行為作成例の各条のミニ解説をしています。
今日から第6章 解散及び合併に入ります。
寄附行為作成例 | ||
第6章 解散及び合併 | 第39条 | 解散 |
第40条 | 残余財産の帰属者 | |
第41条 | 合併 |
今日は、(解散)第39条です。
寄附行為作成例
第6章 解散及び合併 (解散) 第39条 この法人は、次の各号に掲げる事由によって解散する。 一 理事会における理事総数の3分の2以上の議決及び評議員会の議決 二 この法人の目的たる事業の成功の不能となった場合で、理事会における出席した理事の3分の2以上の議決 三 合併 四 破産 五 文部科学大臣(都道府県知事)の解散命令 2 前項第一号に掲げる事由による解散にあっては文部科学大臣の認可を、同項第二号に掲げる事由による解散にあっては文部科学大臣の認定を受けなければならない。 |
【ミニ解説】
1.本条の趣旨
本条は、学校法人の解散の事由として5つを限定的に列挙するとともに、所轄庁の認可又は認定、学校法人の解散の手続を規定している。
私学法では第50条第1項・第2項で具体的に規定しています。
2.解散事由の比較
法人の解散とは、法人がその目的遂行のための活動を終了し、清算手続に入ることをいいます。
解散については、私学法第50条に解散事由が6つあります。作成例の5つと比べてみます。
※解散事由の比較
私学法第50条第1項 | 作成例第36条第1項 | コメント |
一 理事の3分の2以上の同意及び寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決 | 一 理事会における理事総数の3分の2以上の議決及び評議員会の議決 | 同じ |
二 寄附行為に定めた解散事由の発生 |
| 法定外の解散事由が寄附行為で定めないとダメ |
三 目的たる事業の成功の不能 | 二 この法人の目的たる事業の成功の不能となった場合で、理事会における出席した理事の3分の2以上の議決 | 同じ |
四 学校法人又は第64条第4項の法人との合併 | 三 合併 | 同じ |
五 破産手続開始の決定 | 四 破産 | 同じ |
六 第62条第1項の規定による所轄庁の解散命令 | 五 文部科学大臣(都道府県知事)の解散命令 | 同じ |
3.所轄庁の認可と認定
第2項の所轄庁の認可と認定は、私学法第50条第2項の規定を援用している。
(1)「理事会議決+評議員会議決」による解散
作成例第36条第1項は「一 理事会における理事総数の3分の2以上の議決及び評議員会の議決」の解散事由の場合は、文部科学大臣の認可を必要としている(作成例第36条第2項)。
なお、所轄庁がこの認可をする場合には、あらかじめ、私立学校審議会又は大学設置・学校法人審議会の意見を聴かなければならないこととされている。
※解散の流れ
理事の同意+評議員会の議決
↓
所轄庁の認可
↓
解 散
↓
清 算 手 続
(参考:松坂先生p298〜299)
(2)「目的たる事業の成功の不能」による解散
例えば「学校法人の経営能力が次第に衰弱して学校の設置が不可能になったといった場合」などは、事業の成功が不能となったか否かの判定が困難です。したがって、第一号に規定する任意解散の要件である一定数の理事の同意を得ることができないような場合に、一部の理事が本号の規定によって恣意的な解散を宣言するとも予想されます。このため、作成例第36条第2項(私学法第50条第2項)において、本事由による解散の場合には、所轄庁の認定を受けなければその効力を生じないものとしています。
なお、所轄庁がこの認定をする場合には、あらかじめ、私立学校審議会又は大学設置・学校法人審議会の意見を聴かなければならないこととされています。
また、本号の規定による解散の場合においては、私学法第42条1項第5号の規定により評議員会に諮問しなければならないことになります。
※解散の流れ
目的たる事業の成功の不能
↓
所轄庁の認可
↓
解 散
↓
清 算 手 続
(参考:松坂先生p301〜302)
今日は、ここまでです。