2016年03月23日
【財務】外貨建資産・負債の評価
こんにちは!今日は、大学法人にて銀行出身の財務担当の方からのご質問です。
<Q>外貨建資産・負債の評価
学校会計では、外貨建資産・負債の評価はどうなっているのですか?
<A>
学校会計では、外貨建資産・負債の評価基準についての定めはありません。手がかりとしては、文科省の通知に例示された換算基準の注記記載例(25高私参第8号)、会計士協会の研究報告16号の換算基準の注記記載例があります。
<説明>
外貨建の資産・負債等は、為替相場の変動による影響を受けるため、学校法人の財政及び経営の状況に影響を及ぼすことがあります。計算書類上は、外貨建であることが表示されないので、その換算基準を会計方針に記載し、かつ、円換算額を記載しなければ、財政及び経営の状況の正確な判断を誤りかねなません。
そこで、重要性がある場合は、注記事項として外貨建の資産・負債の円への換算基準を記載し、また、外貨建の資産・負債の額を注記することになっています。もう少し説明します。
1.外貨建資産・負債等の本邦通貨への換算基準
外貨建資産・負債は、外貨建を円貨に換算して表示しますが、年度末日の為替相場で換算する場合と取得時又は発生時の為替相場で換算する場合とでは計算書類に与える影響が異なります。そこで、外貨建資産・負債等に金額的重要性がある場合には、本邦通貨への換算基準を注記することになります。
注記例です。
1.重要な会計方針 (1)引当金の計上基準 徴収不能引当金 退職給与引当金 (2)その他の重要な会計方針 【記載例1】 外貨建資産・負債等の本邦通貨への換算基準 …外貨建短期金銭債権債務については、期末時の為替相場により円換算しており、外貨建長期金銭債権債務については、取得時又は発生時の為替相場により円換算している。 【記載例2】 外貨建資産・負債等の本邦通貨への換算基準 外貨建金銭債権債務については、期末時の為替相場により円換算している。 |
参考:・文科省通知(25高私参第8号)
・計算書類の注記事項の記載に関するQ&A(学校法人委員会研究報告第16号)
2.外貨建資産・負債等の本邦通貨への換算基準
外貨建の預金及び借入金等は、外貨建を円貨に換算して表示しますが、これらの外貨建資産・負債等は、為替変動の影響を受けることから、学校法人の財政及び経営の状況に影響を及ぼすことがあります。計算書類上は外貨建であることが表示されないので、主な外貨建資産・負債につき、取得時又は発生時の為替相場で換算している場合には、その旨、年度末日の為替相場による円換算額及び換算差額を注記することになります。
なお、外貨建有価証券については、為替変動の影響が有価証券の時価情報の注記に含まれることになるため、記載を要しません。
【記載例】
科目 | 外貨額 | 貸借対照表計上額 | 年度末日の為替相場による円換算額 | 換算差額 |
その他の固定資産(定期預金) | 米ドル ×× | ×× | ×× | △×× |
長期借入金 | ユーロ ×× | ××× | ××× | ×× |
参考:計算書類の注記事項の記載に関するQ&A(学校法人委員会研究報告第16号)
今日は、ここまでです。