2016年03月03日
【補助金】憲法89条論争って何だろう?!(憲法89条vs私学法59条)
こんにちは!今日は、学校法人の理事さんからのご質問です。
<Q>憲法89条論争って何だろう?!
(憲法89条vs私学法59条)
補助金については、憲法89条論争があったと聞いたのですが、どういうことですか?
<A>
学校会計の法規集には、憲法89条は出ていませんが、以前は私立学校への補助金について憲法89条論争がありました。
では、まず憲法89条です。
日本国憲法 第7章 財政 ……… 第89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。 |
ここで、私立学校への補助金が、89条の「公の支配に属しない」教育事業への公金の支出ではないかとの意見が憲法学者から出たことがありました。
議論の末、この点については、現在では、ほぼ解決されています。この先の説明は、小野先生の「私立学校法講座」p246の力をお借りします。
4.結論 憲法第89条をめぐっては、立法論を含め種々の議論がなされており、学説上も様々な見解があるが、現行の法制度上結論的には次のように解すべきであると考える。 すなわち、憲法第89条後段の「公の支配」の規定は、私立学校その他の私立の教育慈善等の事業については、その会計、人事等につき公の機関の特別の監督関係の下になければ公金の支出等をしてはならないという趣旨であるが、私立学校については、私立学校振興助成法、学校教育法及び私立学校法に定める所轄庁の監督規定により「公の支配」に属しており、これに対する助成は憲法第89条に照らし適法である。 実際には、このような考え方の下に法制度上も、予算面においても私立学校に対し各種の助成策が行われているところである。 |
このように私学への公的補助は憲法違反ではないため、私学法59条は「国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、別に法律で定めるところにより、学校法人に対し、私立学校教育に関し必要な助成をすることができる。」旨の規定を置いても問題ないわけです。そして、この別に定める法律としては、例えば「私立学校振興助成法」等があります。
今日は、ここまでです。