2015年12月16日
【固定資産】固定資産の備忘価額は幾らにするのか??
<Q>固定資産の備忘価額は幾らにするのか??
固定資産の減価償却を終わると備忘価額を付けるのですが、いくらにしたら良いのでしょうか?
<A>
固定資産の備忘価額についいては、「学校法人の減価償却に関する監査上の取扱い」(学校法人委員会報告第28号。昭56、平13改正)に定めがあります。
(2)有形固定資産の減価償却額の計算に当たっては、残存価額を零として行った場合であっても、妥当な会計処理として取り扱うものとする。この場合、最終年度に備忘価額を付するものとする。 |
この備忘価額についても、旧委員会報告第8号では、「耐用年数表」の付記で「1円の備忘価額を残すものとする。」と断定していたのであるが、昭和56年の改正で、金額は1円にこだわらないこととしました。
少し解説します。
1.備忘価額の意義
減価償却資産の残存価額はゼロの場合、償却が終わると使用中に減価償却資産が帳簿かの記録から消えてしまいます。そのための、償却済みの減価償却資産であっても帳簿上からも資産の現物管理できるように備忘価額を残します。
学校会計では、実務指針45号3-5に備忘価額の説明があります。
……固定資産の評価を実施した後も当該固定資産を引き続き保有していることを帳簿上明らかにするためのものである。このため、備忘価額は学校法人が規程等で合理的に決めた価額(例えば1円)となる。 |
やはり同じ説明です。
2.備忘価額は幾らなのか?
個別償却資産の備忘価額を幾らにするかは、結局、学校法人の任意と言うことになります。ですから備忘価額の会計処理が継続して画一的にできるように経理規程などの備忘価額をいくらにするか定めておくことが必要です。
では、備忘価額をいったい幾らにするかです。耐用年数経過時に使用中のものについて、1円又は100円の備忘価額を付するとの議論がありますが、実務では1円とするものが多いです。
備忘価額は、固定資産の存在を示すために1円と言う名目額を残すのです。
※(発展)
備忘価額は、減価償却の場合に以外にも有姿除却した場合にも備忘価額を残します(文科省通知。H25.9.25。高私参第8号)
3.備忘価額の例外<グループ償却資産>
備忘価額を0にしないと決まっている減価償却資産群があります。机、椅子などのグループ償却資産です。
これからのグループ償却資産については、資産に償却完了後も備忘価額を付しておく必要はありません。理由は、当該資産の廃棄時における会計処理の煩雑さを回避するため、耐用年数経過時に会計上除却処理するのです。(上記28号)。
ただ、会計上除却処理をした資産といえども、なお現品がある以上、資産衿理台帳などによって十分な管理が必要となります。
今日は、ここまでです。