2015年11月12日
【注記】偶発債務とは何か?
こんにちは!今日は、専修学校の副理事長さんからのご質問です。
<Q>偶発債務とは何か?
決算書に偶発債務とあるのですが、どういう意味なのでしょうか??
<A>
偶発債務は、文科省の通知で、金額に重要性がある場合に貸借対照表に注記することになっています(17高私参第1号通知)。この通知では、偶発債務の定義までは、していないのですが、偶発債務の注記記載例があります。
7.その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項 (事務局注:改正基準では8.……となる) …… (5)偶発債務 下記について債務保証を行っている。 教職員の住宅資金借入れ ×××円 役員の銀行借入金 ×××円 A学校法人(姉妹校)の銀行借入金 ×××円 B社(食堂業者)の銀行借入金 ×××円 理事(又は監事)が取締役であるC社の銀行借入金×××円 |
偶発債務の定義については、会計士協会の研究報告に一言あります。
「偶発債務は、将来において当該法人の負担となる可能性のあるもの」とあります(研究報告16号のQ21)。そして、「将来債務を負う又は損害を被る可能性が年度末日において既に存在しているため注記が求められるものである。」と続きます
企業会計を参考に、もう少し偶発債務の定義に踏み込みます。財務諸表等規則58条では、偶発債務は「債務の保証、係争事件に係る賠償義務その他現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるもの」。と定義しています。これで偶発債務のイメージがわかるかと思います。
無理矢理図解すると
発生の確率 | 可能性はある | 合理的見積 | 確定 |
科目・注記項目 | 偶発債務 | 引当金 | 未払金 |
右に進むほど、発生の確率が高くなります。
研究報告16号のQ21の偶発債務の注記記載例です。
【記載例】 偶発債務 ア.債務保証を行った場合 下記について債務保証を行っている。 教職員の住宅資金借入 ×××円 役員の銀行借入金 ×××円 A学校法人(姉妹校)の銀行借入金 ×××円 B社(食堂業者)の銀行借入金 ×××円 理事(又は監事)が取締役であるC社の銀行借入金×××円 イ.係争中の事件がある場合 当学校法人を被告とする○○事件について△△と係争中であり、×××円の損害賠償請求を受けている。 ウ.手形の割引又は裏書を行った場合 手形の割引高 ×××円 手形の裏書譲渡高 ×××円 |
偶発債務が実際に現実に法律上の債務となるかどうかは、将来の事象できまるので、会計年度末では、貸借対照表の負債にはなりません。しかし、学校の財政状態を判断する上で重要なものなので、偶発債務の内容と金額を貸借対照表に注記するのです。
今日は、ここまでです。