2015年10月30日
【基本金】少額重要資産の除却と基本金の取扱い
こんにちは! 今日は、高校の経理担当の次長からのご質問です。
<Q>少額重要資産を除却すると基本金はどうなるの?
机、椅子などの少額重要資産は購入時に、基本金を組み入れます。そして、少額重要資産の減価償却は、グループ償却で行い、耐用年数が到来した最終年度に、現物が残っていても一括除却します。さて、この場合の基本金は、どうなるのですが。
<A>
グループ償却資産を除却した場合の取扱いは、学校会計の法規集の「学校法人の減価償却に関する監査上の取扱い(学校法人委員会報告第28号)」の中にあります。
「グループ償却」を採用している場合、償却完了によって機器備品の除却処理をしたときには、当該機器備品の取得価額に相当する額は、当該会計年度の基本金の組入計算に際し、取得更新の対象となります(「基本金設定の対象となる資産及び基本金の組入れについて」(文管振第62号) 3-(2)-ア参照)。 |
それでは、文科省の通知(文管振第62号)に移動します。
この62号は文部省の昭和49年の通知ですが、該当箇所を拾います。
ァ. 機器備品の取得は、すべて基本金要組入額の増加要因とする。ただし、機器備品の取得価額のうち、当該年度中に除却した機器備品(又は前年度末をもって耐用年数が経過した機器備品。以下同じ。)の取得価額相当額については、機器備品の取替更新分とみなし、両者の差額を基本金要組入額とする。 |
この取扱いは、机、椅子などの機器備品の取得の場合は、新旧の個別対応関係が必ずしも明確でない場合が多いので認められています。 格言的に言うと、「少額重要資産の基本金は差額補充法」っと言ったところでしょうか。
この通知ですが、結局、グループ償却が完了した年度に一括して除却処理を行うと、会計上は固定資産が存在しなくなるので、当該会計年度において基本金の取崩対象とします。ただ、追加取得分の機器備品(少額重要資産は機器備品の一部)があることもあるので、基本金の組入は差額補修法となります。もし、追加取得の機器備品がなければグループ償却完了年度に基本金の取崩対象額となります。
それと、グループ償却資産は事務処理の簡便化のために設けられたので、備忘価額を残しません。帳簿から消えてしまうのですが、現物管理は別途必要です。現にある備品については、例えば固定資産台帳の中に「簿外管理台帳」の欄を設けて管理していくことになります。
今日は、ここまでです。