2014年08月08日
【授業料】支払わない「奨学費支出」の不思議?
<Q>支払わない「奨学費支出」の不思議?
最近は、学生や生徒募集のための学費支出が増えてきました。しかし、学校では奨学費支出と言う支払は実際ありません。どうして決算書の載せるのですか?
<A>
学校会計的にはスバリ、学校法人会計基準第6条の「当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出の内容……を明らかにする」ために資金収支計算書の目的の重要性にかんがみて、総額法を採用しました。
資金収支計算書は、いわば半発生主義の決算書で、疑似資金繰り表なのです。
<もっと詳しく説明>
授業料等の減免が行われた場合の会計処理には純額法と総額法の二通りの方法が考えられるのですが、いずれの方法も一長一短があります。
例えば授業料等を一旦全額収納した上で奨学費として支出する方法を採用している場合と、減免後の額で収納している場合の会計処理を考えてみます。
純額法 | 総額法 |
純額法は、資金収支計算書の実際の収支に基づいて作成されるべきものだとの考え方によるものです。 純額法によれば、例えば授業料等を一旦全額収納した上で奨学費として支出する方法を採用している場合と、減免後の額で収納している場合とでは減免の実態が同じなのですが、手続の相違で計算書類の内容が異なる結果が生じます。 | 総額法を採用すれば、資金の収支を伴わない数字が資金収支計算書に計上されることになる。
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支払資金との直接の関連性を有する点からは純額法が、また学校法人の諸活動に対応する収支を表わすという点からは総額法が適していると考えられます。いずれの方法も根拠があり、一方のみを非とすることはできないのですが、計算書類を利用する場合の実務上の有用性を重視し、その上で統一的な会計処理によっていることが便宜であることなどを考慮して、学校法人においては総額法を原則的な方法として採用しました。
参考:
・「授業料等の減免に関する会計処理及び監査上の取扱いについて」昭和58年。学校法人委員会報告第30号。
・「授業料等の減免に関する会計処理及び監査上の取扱いについて」昭和59年、平成9年改定。学校法人会計問答集(Q&A)第1号
今日は、ここまでです。