2014年04月11日
【役員】役員退職慰労引当金計上の要否
<Q>役員退職慰労引当金の計上の要否・可否
決算では、教職員の退職給与引当金は設定するのに、役員退職慰労引当金を計上しなくてよいですか?
<A>
私見は入りますが、学校会計では2つの考え方があるようです。
【計上すべきとする考え方】
教職員に限らず、役員についても引当金の計上要件を満たす場合には、役員退職慰労引当金を計上することとなります。
引当金の設定要件
・将来の消費支出である
・その消費支出の発生が当年度以前の事象に起因する
・その消費支出の発生の可能性が高い
・その消費支出の金額を合理的に見積もることができる
【計上すべきでないとする考え方】
学校法人の役員への退職金の支給について理事会の承認がいるか否かの法規定はありませんが、(たとえ役員退職金の内規があっても)学校法人の公益性からして少なくとも理事会の承認は必須条件であり、その承認は,決議時の財政状態を背景として行なわれることからすると、現況では費用認識は大変難しい。(参考:「問答式学校法人会計平成12年改訂版」p80。学校経理研究会)
また、「役員の地位についただけでは報酬を支払わない」とする寄附行為も多いことから、同じく役員退職慰労引当金の計上も「役員の地位についただけでは支払わない」と考えるべきだとする意見もあります。
<結論>
引当金の計上は、結局、支払いの確実性によるものなので、役員慰労金規定に基づき支給がほぼ確定するものは引当金の計上が必要となるのですが、支給に際し理事会決議が必要な場合は、ほぼ確定とは言えないので役員退職慰労金引当金を計上すべきでしょう。
ただ、学校会計では、会計原則の中に保守主義の原則を明示していません(基準2条)。つまり曖昧な消費支出の計上は好ましくない考える訳です。そうすると、学校会計では企業会計より引当金の設定要件、特に支出の確実性を厳しく考えてもよい感じもします。このへんは、学校の会計慣行の動向を見守りたいと思います。
今日は、ここまでです。