2014年01月24日
【運営】「理事会」と「学長・校長」の関係は?
<Q>理事会と学長・校長との関係
理事会と学長・校長との関係はもともと法律ではどうなっているのでしょうか?
<A>
学校会計の法規集では対応できないです、今日の法律のご質問は、法律専門書の助けを借ります。弁護士の俵先生の「解説私立学校法(第二版)」です。
1.法理論
法令によって学長・校長の権限とされている事項については、学長・校長が自らその名前においてこれを行うことが必要であり、理事長がこれに代わって行うことはできない
しかし、学校の最高管理機関は理事会であるから、学長・校長の権限とされる事項についても、理事会又はその委任を受けた理事が、学長・校長の職務の執行について一般的な指示をすることはできる。
ここで述べたことは、理事会と学長・校長との権限関係についての法理論である。
2.実務
したがって、現実に、理事会が、どこまで指揮監督の権限を行使するかは別の問題である。現実には、学校の教育機関の特殊性から、指揮監督は抑制的に行われている。理事会は、経営的、教育的配慮から、学校の責任者である学長・校長に大幅にその権限を委譲するのが適当である。具体的には、理事会は、学校管理の一般的方針と基本的事項を定め、重要又は異例にわたる事項を除きほかは学長・校長に権限を委譲することが適当である。
公立学校では、学校管理機関である教育委員会が、学校管理規則と呼ばれる教育委員会規則によって、校長との権限分配その他学校の管理運営の基本的事項を定めている(地方教育行政の組織及び運営に関する法律33条)。私立学校においても、このような「理事会規則」や「業務委任規則」を定めて、学長・校長の学校管理の権限を明確にするのが望ましい。
3.具体例
学長・校長が行うことを法令で定めている事項、例えば、入学の許可、卒業証書等の記名は、理事長名ではなく、学長・校長名で行うことになる。
しかし、入学許可の方針については、学校法人の業務決定機関である理事会が定めることができる。大学及びその設置者である学校法人の管理に予算の裏付けが必要なことはいうまでもないが、予算の大部分が入学学生・生徒数とその学納金に依存しており、その予算は、評議員会の意見を聞いた上、理事会で決定される(私学法42条1項1号、36条2項)、この一事をもってしてもこのことは明白である。
それゆえ、例えば学教法施行規則90条1項の規定に関し、「入学は、理事会の定めた方針に従い、校長が、これを許可する。」等と定めることもできるものと解する。
(参考:解説私立学校法(新訂二版)p318〜319。俵正市著。H25法友社)
今日は、ここまでです。