2013年01月24日
【注記】継続法人の前提に関する注記
こんにちは! 今日は、ある研修会で大学法人の方からいただいたご質問です。
<Q>大学経営が厳しいおり、学校会計では「継続法人の前提に関する注記」が議論されていると聞いたのですが,継続法人の前提の注記とは何のことですか。
<Q>
一般企業は「継続企業の前提に関する注記」と言っていますが、学校会計の世界では「継続企業」とも「継続法人」とも混在した言葉が使われています。継続法人の前提とは、法人が将来(少なくとも翌会計年度)にわたって事業活動を継続するとの前提を言います。
さて、「継続法人の前提に関する注記」は、何かと言いますと「貸借対照表日において、債務超過等財務指標の悪化の傾向、重要な債務の不履行等財政破綻の可能性その他学校法人が将来にわたって事業を継続するとの前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在する場合には、次に掲げる事項を注記することです。
一当該事象又は状況が存在する旨及びその内容
二継続法人の前提に関する重要な疑義の存在
三当該事象又は状況を解消又は大幅に改善するための経営に携わる者の対応及び経営計画
四当該重要な疑義の影響を財務諸表に反映しているか否か」
(参考:学校財規17条)
慣れないとこの文章は漠然としているので、少し補足します。
継続法人の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況としては、法人の破綻の要因を一義的に定義することは困難なので、財務指標の悪化の傾向、財政破綻の可能性等概括的な表現を用いています。
もし具体的に例示するとすれば、財務指標の悪化の傾向としては、学生生徒等納付金の著しい減少、継続的な債務超過等が考えられます。
財政破綻の可能性としては、重要な債務の不履行や返済の困難性(重要な借入金が払えない等)、新たな資金調達が困難な状況等が挙げられます。
また、教育研究事業の継続に不可欠な重要な資産(校舎など)の段損や権利の失効、巨額の損害賠償の履行、その他法令に基づく事業の制約等も考慮すべき事象や状況となると考えられます。
学校法人の会計では、この「継続企業の前提」に係る開示基準がないこと、自主的開示の慣行が成熟していないことなどから、学校法人が自主的に計算書類に注記することが望ましいとしています。(「計算書類の注記事項の記載に関するQ&A」(学校法人委員会研究報告第16号)のQ30)
今日は、ここまでです。