2012年08月15日
【私学助成法】第3条(責務)
3.基本金対象資産と基本金を考える際の留意点
学校会計の基本金の定義は基準の第29条にありました。慣れても読みづらい定義ですが、理解するとよく考えられた定義です。
「学校法人が、その諸活動の計画に基づき必要な資産(基本金対象資産)を継続的に保持するために維持すべきものとして、その帰属収入のうちから組み入れた金額を基本金とする。」 この定義で、継続的保持の判断に当たっては次の点が前提とされているので留意すべきこととされています。
「ア 私立学校振興助成法では、学校法人の責務として当該学校の教育水準の向上に努めなければならないものとしており(私立学校振興助成法第3条)、教育水準の低下を来たすような資産の処分は適当ではない。また一時的に教育水準の低下をもたらすことがあっても、速やかに元の水準に引き上げなければならない。」(日本公認会計士協会・学校法人委員会研究報告第15号のQ1−1)
つまり、「借金でない自己財源(基本金)を用意して、校地・校舎など(基本金対象資産)を購入し継続的に持ち続けて」、助成法第3条にあるように学校法人の責務として教育水準の向上に努めなければならないことを言っています。
基本金は、とても優れた概念なので、別項でまたご説明したいと思います。
今日は、ここまでです。
こんにちは!今年の夏休み(後半)は私立学校振興助成法を読み込んでいます。今日は、助成法第3条(責務)です。
【私学助成法第3条】(学校法人の責務)
第3条 学校法人は、この法律の目的にかんがみ、自主的にその財政基盤の強化を図り、その設置する学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の適正化を図るとともに、当該学校の教育水準の向上に努めなければならない。
【かんたん説明】
1.本条の趣旨
本条は、学校責務を3つ挙げています。
第1条と表裏一体のような条文です。つまり、第1条の目的を踏まえて第3条では、私学には3つの責務が定められています。
2.3つの責務
本法第1条で、法律の形態で私立学校振興助成についての国の基本的姿勢と財政援助の基本的方向を宣明しました。そして、第1条の究極の目的は「私立学校の健全な発展」でした。この究極目的達成のために学校法人には3つの努力義務が課されています。そのため本法第1条の学校法人の3つの目的と本条の3つの責務には共通性が見られます。
※3つの目的(1条)と3つの責務(3条)
3つの目的(1条) | 3つの責務(3条) | ||
私立学校の教育条件の維持及び向上 | ≒ | 当該学校の教育水準の向上に努めなければならない。 | 本条後段 |
修学上の経済的負担の軽減 | ≒ | その設置する学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の適正化を図るとともに | 本条中段 |
私立学校の経営の健全性を高める | ≒ | 自主的にその財政基盤の強化を図り(本条前段) | 本条前段 |