2012年06月25日
【評議員】評議員報酬の会計処理と源泉
こんにちは! ある県の学校法人で決算理事会の後にいただいたご質問です。
<Q>評議員への支払報酬
6月から有名な教育者の方が評議員になりこの方に月額6万円を支払うことになりました。会計処理と源泉税の取扱いを教えて下さい。
<A>
評議員は評議員会を構成する構成員です。学校法人での評議員会の役割は、学校法人の運営に広い範囲の意見を反映し、学校の公共性を確保することになります。評議員会の職務については、「理事長は予算・借入金・事業計画・寄附行為の変更などについて、あらかじめ評議員会の意見を聞かなければならない」ことになっています(私立学校法第41条)。評議員会は学校法人の合議制の諮問機関にあたります。
1.会計処理
評議員報酬は、寄附行為に定めれば上記の予算・借入金・事業計画・寄附行為の変更などの決議機関となることもできるので、はじめての学校会計では役員報酬になるのか迷うことがあります。
そこで、基本に戻り、学校法人会計基準に別表第1・第2にある役員報酬の定義を確認します。
例えば、別表第2では「役員報酬…理事及び監事に支払う報酬をいう。」とあります。つまり、評議員は理事・監事でありませんので、評議員報酬は、役員報酬になりません。
そのため学校会計では、評議員報酬は、(大科目)管理経費の(小科目)報酬委託手数料などで会計処理します。
また、予備知識としては、交通費,宿泊費の実費弁償をする場合は、(大科目)管理経費の(小科目)旅費交通費で会計処理します。逆に名目は「車代」としても、交通費にふさわしくない額を支払う場合は、実態により、(小科目)報酬委託手数料となります。
ですから、誤解が起きないように学校としては、評議員の報酬規程や旅費規程を整備しておくことが望まれるところです。
2.源泉税
一般に評議員の手当は、所得税法第28条に定める給与等に当たるものと解されて、給与として源泉徴収すべきとされます。しかしながら、実務的には、所得税法204条の源泉徴収しなければならない報酬として一律10%の源泉徴収を行っているケースもあると聞きます。
実務で源泉の取扱いが分かれるのは、評議員は1号評議員(職員評議員)、2号評議員(卒業生評議員)、3号評議員(寄附行為で定めにより選任された評議員。いわゆる学識経験者等の評議員)と評議員の個人の資格等による区分が複雑なためにあるようです。
今日は、ここまでです。