【新書】「学校法人会計の仕組みと決算書の見方」【決算】退職給与引当金の注記の整理

2012年05月02日

【決算】高校・専門学校の退職給与引当金の注記2

退職こんにちは! 最近、計算書類を作成するにあたり、高校、専修学校などの知事所轄学校法人さんからの退職給与引当金の注記例のご質問をいただくようになりました。文科省の記載例が大学法人向けのものだからでしょうか。

 では、ご参考までの一般的な記載例をご説明いたします。

 まずは、ケース分けです。

【ケース1】私学退職金団体に加入。変更時差異は一括処理。

【ケース2】私学退職金団体に加入。変更時差異は分割処理。

【ケース3】私学退職金団体に未加入。変更時差異は一括処理。

【ケース4】私学退職金団体に未加入。変更時差異は分割処理。

 

【ケースA−1】 

高校の入学式 私学退職金団体に加入して、変更時差異を一括計上するケースです。都道府県の私学退職金団体への加入が高校法人に多いです。

 知事所轄学校法人の基本形の注記例です。

 

 

 

 

<貸借対照表の注記>

1.重要な会計方針

(1)引当金の計上基準

退職金の支給に備えるため、期末要支給額×××円の100%を基にして、△県○○退職金団体退職金団体からの交付金を控除した額を計上している。

 

2.重要な会計方針の変更等

 退職給与引当金

退職給与引当金について、従来、期末要支給額の○○パーセントを基にして、△県○○退職金団体退職金団体からの交付金を控除した額を計上していたが、「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について」(平成23217日付け22高私参第11号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)が発出されたことに伴い、当年度から期末要支給額の100パーセントを基にして△県○○退職金団体退職金団体交付金を控除した額を計上している。この変更により、従来と同一の方法によった場合と比較して退職給与引当金が××円増加し、当年度消費収入超過額が同額減少している。

 

<消費収支計算書の注記例>…共通

退職給与引当金特別繰入額は、「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について」(平成23217日付け22高私参第11号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)に基づく変更時差異について繰り入れた額である。

 

 

【ケースA−2】

私学退職金団体に加入しており、変更時差異を分割計上するケース。ここでは貸借対照表の「7.その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」を追加して記載します。

 

<貸借対照表の注記>

1.重要な会計方針

(1)引当金の計上基準

・退職金の支給に備えるため、期末要支給額×××円の100%を基にして、△県○○退職金団体退職金団体からの交付金を控除した額を計上している。

 

2.重要な会計方針の変更等

 退職給与引当金

退職給与引当金について、従来、期末要支給額の○○パーセントを基にして、△県○○退職金団体退職金団体からの交付金を控除した額を計上していたが、「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について」(平成23217日付け22高私参第11号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)が発出されたことに伴い、当年度から期末要支給額の100パーセントを基にして△県○○退職金団体退職金団体交付金を控除した額を計上している。

なお、当該通知に基づく変更時差異×××円について平成23年度から○年で毎年度均等に繰り入れている。この変更により、従来と同一の方法によった場合と比較して退職給与引当金が××円増加し、当年度消費収入超過額が同額減少している。

 

7.その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項

 退職給与引当金の計上

「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について」(平成23217日付け22高私参第11 号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)に基づく変更時差異は×××円、退職給与引当金特別繰入額の累計額は××円、繰入年数は○年、経過処理年数は○年である。

 

<消費収支計算書の注記例>…共通

退職給与引当金特別繰入額は、「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について」(平成23217日付け22高私参第11号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)に基づく変更時差異について繰り入れた額である。

 

 

【ケースB−1】 

調理私学退職金団体に加入しておらず、変更時差異を一括計上するケース。

 都道府県の私学退職金団体への未加入は割と専修学校・各種学校などに多いケースです。

 

 

 

 

 

<貸借対照表の注記>

1.重要な会計方針

(1)引当金の計上基準

退職金の支給に備えるため、退職金規程に基づく期末要支給額の100%相当額を計上している。

 

2.重要な会計方針の変更等

 退職給与引当金

 退職給与引当金について、従来、期末要支給額の○○%相当額を計上していたが、「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について」(平成23217日付け22高私参第11号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)が発出されたことに伴い、当年度から期末要支給額の100%相当額を計上する方法に変更した。この変更により、従来と同一の方法によった場合と比較して退職給与引当金が××円増加し、当年度消費支出超過額が同額増加している。

 

<消費収支計算書の注記例>…共通

退職給与引当金特別繰入額は、「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について」(平成23217日付け22高私参第11号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)に基づく変更時差異について繰り入れた額である。

 

 記載できる量の関係で、注記例はここまでです。



kaikei123 at 07:13│Comments(0)TrackBack(0) 《特集》H23年度決算の留意点 

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