2012年01月09日
【収入】帰属収入の名前の由来!
こんにちは!新年度になりました。今年もよろしくお願いいたします。
さて、今日は、各学校でたまに聞かれるご質問です。「帰属収入」の名前の由来です。
<Q>学校ではよく帰属収入と言う言葉を使います。学校法人会計基準(以下「基準」)では、第16条で「帰属収入(学校法人の負債とならない収入)」とありますが、何となくピンと来ません。帰属収入の意味を教えて下さい。
<A>
学校法人会計基準は、日本独自の会計基準と思われるので、基準に一番近い関係者に聞いてみます。
まず、権威ある基準の解説書をみると
「帰属収入は、学校法人の負債とならない収入をいう。
学校法人の諸活動の運営に伴って必要な毎年度の消費支出の財源として充てうる収入は、一般的には各年度において学校法人が自由に処分しうる収入をもってその限度と考えるべきである。したがって、返済義務を伴う借入金、預り金等の負債性の収入を除いたものをもって消費収入の基礎となる帰属収入とすることにしたのである。
なお、金銭以外の資産の受贈額についても、第25条ただし書の規定により適正な評価をしてこれを帰属収入に含めるべきである。」とあります(「新版学校法人会計基準詳説」p72 平成2年版。文部省高等教育局私学部長 野崎弘先生)。
もっと、遡って基準を作った諸先輩の本をみてみましょう。まず、まだ基準が実施される前ですが基準を作ったと思われるメンバーの本です。
「資金源泉」にも、授業料や寄附金、補助金のように、最終的に学校法人に帰属する収入をあらわすグループと、いったんは法人への資金の流入にはなっても、後日返済しなければならない負担のついた収入、すなわち負債となる収入をあらわすグループの2つがある。」(P82)
「学校法人の諸活動にともなう資産の年々の消費額、すなわち消費支出を填補するためには、学校法人が自由な処分を任された収入をこれに充てなければならない。このような性質の収入を総称して「基準」は、「学校法人に帰属する収入」(略して「帰属収入」)と呼んでいる。それはいうまでもなく返済義務を伴わない収入であるから、負債たる収入は除かれること、当然であろう。」(P118)(「学校法人簿記会計入門」昭和45年8月 高橋吉之助・村山徳五郎の両先生)
もう一つ、基準実施直後の解説書をみます。
「法人に帰属する収入(以下たんに「帰属収入」という)とは、その年度に受領した資金のうち、借入金や預り金のように後日返金を必要とするようなものを除いて、すなわち完全に法人のものとなる資金をいう。この帰属収入は、その一部が上記の物件に向けられ、残部が人件費や経費として支出される。」
「学校法人の会計」私学経営実務講座4 昭和46年8月 須藤章・石崎正義・斎藤力夫の各先生)
ここまでを見ると「後日、返済不要で学校が自由に使える資金=学校に100%帰属する収入なので帰属収入と定義した」ことがわかります。
|
2つの収入 |
資金の増加 (当年度) |
後日の資金減少(将来) |
使える自由度 |
資金の源泉の増加 |
帰属収入 |
○ (あり) |
× (返済不要) |
◎ 100% |
その他の収入 |
○ (あり) |
○ (返済必要) |
△ |
つまり、当年度の収入を後日の返済があるかどうかで分けたのですね。最後は、当たり前の説明になってしまいました。