2011年09月26日
【私学法第50条】(解散事由)
こんにちは! 私立学校法の第49条は削除済みなので、今日は、第4節解散に入ります。ただ、学校法人の解散はレアケースなので、かなりはっしょってみていきます。
第4節「解散」です。ここでは解散に関する規定が置かれています。主な、解散事由、解散手続き、残余財産の帰属、合併等の規定です(第50条〜第57条)。今日は、第50条の解散事由をみていみます。
【私立学校法第50条】(解散事由)
学校法人は、次の事由によつて解散する。
1.理事の3分の2以上の同意及び寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決
2.寄附行為に定めた解散事由の発生
3.目的たる事業の成功の不能
4.学校法人又は第64条第4項の法人(※準学校法人)との合併
5.破産手続開始の決定
6.第62条第1項の規定による所轄庁の解散命令
2 前項第1号及び第3号に掲げる事由による解散は、所轄庁の認可又は認定を受けなければ、その効力を生じない。
3 第31条第2項の規定は、前項の認可又は認定の場合に準用する。
4 清算人は、第1項第2号又は第5号に掲げる事由によつて解散した場合には、所轄庁にその旨を届け出なければならない。
【説明】
1.本条の趣旨
本条は、学校法人の6つの解散事由にあげ(第1項)、続いて解散手続きを説明している。
2.解散とは
解散とは、学校法人がそ教育研究活動の継続を断念し、学校に残った財産関係を整理する範囲において、その整理の終了するまで、存続しうるだけの状態となることをいいます。
そして、解散の次のフェイズが精算です。清算は、解散した法人の財産関係を整理する手続です(第50条の3から17)。
流れで言うと、「解散」→「清算」の順です。
3.解散事由
解散事由は第1項に6つ限定列挙されています。
(1)解散決議
「解散の議決理事の3分の2以上の同意」及び「寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決」
・この第1号の事由により解散する場合には,所轄庁の認可又は認定を受けなければ,その効力を生じないこととされています(本条第2項)。
・なお、所轄庁がこの認可をする場合には、あらかじめ、私立学校審議会又は大学設置・学校法人審議会の意見を聴かなければならないこととされています。(本条第3項)
・手続きの流れは、「理事の同意(及び評議員会への諮問又は議決)」→「所轄庁の認可(本条第2項)」→→「解散」→→「清算手続」です。
(2)寄附行為に定めた解散事由の発生
2つめの解散事由は、「寄附行為で定めた解散事由の発生」です。
例としては、「学校法人の存続期限の到来した場合」、「学校に学生・生徒がいなくなった場合」などは考えられます。
・この事由によって学校法人が解散する場合には,清算人は,所轄庁にその旨を届け出ます(本条第4項)。
・手続きの流れは、「解散事由の発生」→→「解散」→→「清算手続(含所轄庁への届出)」となります。
(3)目的たる事業の成功の不能
3つ目の解散事由は「目的たる事業の不能」です。
例えば、「設置校の閉鎖又は廃止の場合」、「学生・生徒数の減少のため学校の経営を維持できなくなった場合」などが考えられます。
・目的たる事業の成功の不能により解散する場合には,所轄庁の認可又は認定を受けなければ,その効力を生じないこととされています(本条第2項)。
・手続きの流れは、「事業の成功の不能」→「所轄庁の認可(本条第2項)」→→「解散」→→「清算手続」となります。
(4)学校法人又は第64条第4項の法人(準学校法人)との合併
最近、聞くようになった学校法人の合併です。
合併には、新設合併と吸収合併の2つの種類があります。新設合併の場合には合併しようとするすべての法人が解散します。吸収合併の場合には吸収される側の法人が解散します。
合併による解散の場合には、解散についての所轄庁の認可は不要ですが、第52条第2項の合併については認可が必要です。
・合併による解散の場合は、清算手続はありません。解散する法人の権利義務は、新設法人、又は存続法人がそのまま承継します。(合併については、私学法第52条から第57条に規定あり)。
・手続きの流れは、「(合併に関する所轄庁の認可)」→→「合併」→→「解散」→→「(清算手続なし)権利義務承継」となります。
(5)破産手続開始の決定
残念なことですが、学校法人は破産する場合です。
学校法人の破産手続開始の原因は支払不能と債務超過です(破産法第16条第1項)。債務超過と言うのは、学校法人が所有資産以上に債務を持ってしまい、完済できない状態をいいます。
・破産手続開始の決定(私学法第50条の2)がありますが省略。
・この事由によって学校法人が解散する場合には,清算人は,所轄庁にその旨を届け出ます(本条第4項)。
(6)所轄庁の解散命令(※私学法第62条第1項)
所轄庁の解散命令は、私学法第62条第1項に定めがあります。
ここでは、「所轄庁の解散命令は、学校法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基づく所轄庁の処分に違反した場合、他の方法により監督の目的を達することができない場合に命じられるものである」(私学法第62条第1項)。
・手続きの流れは、「解散命令」→「解散」→→「清算手続」です。