2011年09月09日
【私学法第40条の4】利益相反行為
今日は、第40条の4(理事の利益相反行為)です。
【私立学校法第40条の4】(利益相反取引)
学校法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代理権を有しない。この場合において、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。
【説明】
1. 本条の趣旨
本条は、学校法人と学校法人の理事との利益相反取引の取り扱いを定めている。
利益相反取引を制限することにより学校の利益を確保することを目的としている。
2. 利益相反取引の例
利益相反取引の代表的な例としては、「理事長が個人で所有する不動産を学校法人が購入する」場合が考えられます。
この場合には、取引や契約についてあらかじめ理事会において出席理事の過半数をもって決議することになりますが、法人と理事との利益が相反関係にあることから、理事はその決議に参加することができません。
そして、この理事長は法人を代表しないこととなり、この場合には、所轄庁が利害関係人の請求又は職権により特別代理人を選任して、不動産の売買取引が行われます。
本条の理事は、理事長を想定しているように読めます。
3.特別代理人の実務
候補者については、通常、学校法人が所轄庁に対し、他の理事、弁護士等推薦することとなります。
4.他に代表権を持つ理事がいる場合
寄附行為において、理事長のみに代表権を制限していない場合は、代表権を有する他の理事が契約当事者となればよいので、特別代理人の選任の必要はありません。