2011年07月21日
【私学法第1条】法律の目的
こんにちは! 今日から私立学校法の「第1章 総則」に入ります。第1章は、第1条で私立学校法の目的を、第2条から第4条では、「学校」「学校法人」「所轄庁」の定義を説明しています。
今日は、まず第1条の「目的」です。
【私立学校法 第1条】(この法律の目的)
この法律は、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ることを目的とする。
【解説】
1.本条の趣旨
私立学校法の目的は、「私立学校の健全な発達を図る」ことにあります。
個別にキーワードの解説をします。
2.「私立学校の特性にかんがみ」
この意味は、私立学校と国公立の学校を比べた場合の特性です。国公立の学校は国公立が学校施設をつくり、運営は公費で行います。しかし、私立学校は、私人の寄附から設立され、その後も私人により運営されていることをいいます。
3.「その自主性を重んじ」
私立学校は私人の寄附によって設立された法人でした。
私立学校は私人の寄附財産から自発的に設立されて、その後も私人により運営されていると言う国公立の学校とは違う特性があるので、私立学校の「自主性」とは、学校が自律的に学校運営を行なうことを尊重することをいっています。しかし、あくまでも公共性範囲内での自主性です。
ですから私立学校法では、私立学校の自主性を重んじられながらも私立学校は学校法人として法的規制の対象となるのです。
4.「公共性を高めることによって」
私立学校の公共性は、学校教育のもつ「公の性質」(学校教育法第1条)、つまり社会公共の福祉のための事業と言う性格をもつことをいいます。
私立学校法が出来るまでは、旧民法の財団法人が私立学校の設置主体に含められていました。しかし、旧民法の財団法人は少数理事の専断に陥りやすいなど、教育の公共性が確保しずらい欠点があったため昭和25年、新しく私立学校法が作られました。
自主性や公共性を具体的に言えば、私立学校は理事会で学校の方針を自主的に決めるのですが(自主性の確保)、他方で所轄庁の監督権限のもとで学校法人制度に一定の制限をもうける(公共性の確保)ことにしたのです。