2011年06月13日
【運営】理事と評議員の数の不思議?
こんにちは!今日は、ある高校で理事長からのご質問をいただきました。
<Q>法律で評議員の人数は、理事の倍以上となっていますがどうしてですか?
<A>
結論としては、私立学校法は「評議員の人数を理事の倍を超える数とする」としたのは、学校法人の諮問機関である評議員会に広く意見を集めるためにあります。
なお、理事の評議員の兼任を禁止していないのは円滑な学校運営を考慮したためですが、兼任はあまり望ましくないと言う法解釈もあります。
<解説>
まず、評議員の人数の法律は、もともと私立学校法の話なので私立学校法を見てみます。
(評議員会)
第41条 学校法人に,評議員会を置く。
2 評議員会は,理事の定数の2倍をこえる数の評議員をもって,組織する。 ………(以下、略)
私立学校法の場合は、専門書の助けを借りてご回答します。まず小野先生ですが、
「理事の定数とは,寄附行為で定められた理事の数であり,評議員の定数がその2倍を超えることとしたのは,仮に全理事が評議員を兼任した場合でも評議員会が理事会とは別の第三者による合議制の機関として有効に機能するよう配慮したものである。」と説明しています。
もう少し進めると、例えば、
私立学校法第44条は評議員の選任について定めを置いており,評議員となる
者として次の三つを掲げています。
1号評議員=職員評議員…校長先生など
2号評議員=卒業生評議員…25歳以上の卒業生
3号評議員=学識経験者等評議員
第1号の職員評議員については,設置する私立学校の校長(園長,学長を含む。),教員その他の職員が含まれる。評議員会に教職員の意見が反映される必要があるため,これらの者が評議員となることとされたものである。
特に,学校がいくつもある場合,すべての校長,学長等が理事になるわけでないので,理事とならなかった校長等を評議員に選任することにより,できるだけ教学側の意見を法人運営に反映させることができるものである。
(私立学校法講座平成21年改訂版p210 小野元之著・学校経理研究会)
また、別の先生は、評議員会の定数について理事の定数の二倍をこえる数としたのは、「私立学校法は理事が評議員を兼職することを禁止していないので、理事の全員が評議員を兼ねるといったことが考えられる。ところで、この場合、理事が評議員の過半数を占めるとすれば、特に理事とは別段の機関として評議員会を設ける理由がなくなるわけである。評議員会を設置する以上、少なくとも評議員の数を理事定数の二倍をこえるものとしなければならないゆえんである。一方、理事と評議員との兼職を禁止しなかった理由は、理事が評議員として評議員会に出席することが、その運営を円滑にする面があるということによるものである。なお、評議員が理事から区別されている以上、原則として理事が評議員を兼ねることは望ましくないとされている。(逐条解説私立学校法 平成22年 松坂浩史著・学校経理研究会p263)