2025年01月
2025年01月22日
資金会計と純資産会計
<Q>資金会計と純資産会計
支払資金の動きは、資金収支計算書と活動区分計算書と整理できます。いわば資金会計です。そうすると事業活動収支計算書は何と言えばよいでしょうか?
<A>
事業活動収支計算書は、様式をみると繰越収支差額の増減計算書ですが、繰越収支差額は貸借対照表の純資産の部の一部を構成することから会計では、純資産の増減計算書と整理されるでしょう。
※イメージ図
資金会計 |
資金収支計算書 |
活動区分資金収支計算書 |
|
純資産会計 |
事業活動収支計算書(フロー) |
貸借対照表(ストック) |
今日は、ここまでです。
2025年01月20日
【ニュース】「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」
こんにちは!今日は、主に小学校・中学校向けの生成AIの利用の仕方のニュースです。ただ、内容的には高校・大学・専門学校にも役立つものです。学校での生成AIの利用の仕方の話です。
文部科学省は先月、「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を公表しました。このガイドラインは、小学生や中学生向けですが、生成AIの技術革新やAIに関するルールづくりの進展を踏まえ、学校現場での生成AIの利用に関する基本的な考え方や留意点を示しています
主なポイントは以下の通りです:
- 生成AIの概要:生成AIの基本的な仕組みや利用方法について説明しています。
- 利用場面:生成AIを活用する具体的な場面や方法について、教育現場での実例を交えて紹介しています。
- 留意点:生成AIを利用する際の注意点や倫理的な観点からの指針を示しています。
- 小学生の利用:小学生による生成AIの利用は慎重に行うべきとされており、特に学習活動での利用については具体的な指導が求められています。
基本的な考え方をまとめてみました。
人間中心の原則 |
・生成AIは人間の能力を補助する道具として利用されるべきである。 |
・出力は参考情報として扱い、最終的な判断は人間が行うことが重要である。 |
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・リスクや懸念を踏まえた上で、責任を持って利用する姿勢が求められる。 |
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児童生徒の学びと生成AI |
・学習指導要領に示す資質・能力の育成に寄与するかを吟味する必要がある。 |
・生成AIを利用することが目的ではなく、教育活動の目的を達成するための手段であるべきである |
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・教師は生成AIを活用し、児童生徒の学びを支援する役割を果たすことが期待される。 |
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教師の役割と生成AI |
・教師は指導計画や学習環境の設定を行い、学びの専門職としての役割を果たす必要がある。 |
・生成AIの仕組みや特徴を理解し、AIリテラシーを身に付けることが求められる。 |
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・教師は生成AIを活用して、児童生徒の学びをより効果的に支援することが期待される。 |
正確な情報はガイドラインの原文や概要版を見て下さい。
【本体】初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0) (PDF:2.4MB) PDF
【概要1枚】初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0) (PDF:506KB) PDF
【概要資料】初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0) (PDF:785KB) PDF
今日は、ここまでです。
2025年01月16日
【内部統制】改正私学法で必要な内部統制システムの整備・充実
こんにちは!今日は、地方の短期大学法人でのご質問です。
<Q>改正私学法で必要な内部統制システムの整備・充実
改正私学法で内部統制が強化されますが、実務で最低限行うべきことは何ですか?内部統制の概念が難しく感じるので、簡単に説明して下さい。
<A>
改正私学法では理事会決議事項として、一般に内部統制と呼ばれるシステムの整備が定められました(改正法36条3項5号)。特に、大臣所轄学校法人等では、内部統制システムの整備が義務化されます(改正法148条1項)。それ以外の学校法人では、任意です。
内部統制については、従来の学校法人でも組織で学校運営をしている以上、以前から内部統制の仕組みはあります。今回の改正法では、その内部統制の概念を明確にして法人運営に落とし込もうというものです。内部統制の理論的な仕組みの説明は、どうも難しい説明が多いので、実務で必要な部分をまず理解していただければよいかと思います。
内部統制システムの明確化の大きなスケジュールと実施事項です。実施事項は、大きく3つに整理できます。
【2025年3月末までに行うべきこと】
1.理事会決議で、内部統制システムの整備に関する方針を決定する
理事会決議に内容統制の基本方針を決議する必要があります。理事会決議の必要な内部統制システムの具体的な内容は、私学法施行規則13条(学校法人の業務の適正を確保するための体制)にあります。
2.理事会決議で、内部統制システムに関わる諸規程を整備する
1の内部統制システムの基本方針に基づいて、内部統制に関係する必要な規程の整備をします。そう言っても従来の諸規程類でカバーできていることが多いです。従来より、法人運営や学校運営を組織で行っていましたので、意識していなかっただけで以前より内部統制システムは存在していました。ただ、従来の諸規程が完璧でないこともあるので、誰が実施すべきか決まっていなかったり、担当が重複していなかったかなどについて多少の見直しは必要になってくるでしょう。
<例>
・コンプライアンス規程・法令遵守マニュアルの作成
・理事会運営規則
・リスク管理規程
・理事職務権限規程
・職員の職務分掌規程
・組織規程
・内部通報規程
・監事監査規程
・個人情報保護規程 等
【2025年4月〜】
3.内部統制の基本方針や関連諸規程を各部署で運用していく。
そのためには、役員や教職員向けの研修の実施を行ったり、諸規程類の定めと実務に齟齬がないか改善を行っていくことになります。
今日は、ここまでです。
2025年01月14日
【新基準】計算書類の順番変更
<Q>【新基準】計算書類の順番変更
新学校法人会計基準では、どうして計算書類の順番が変わったのですか?
第三章 計算関係書類
第一節 総則(第15条・第16条)
第二節 貸借対照表(第17条―第22条)
第三節 事業活動収支計算書(第23条―第31条)
第四節 資金収支計算書(第32条―第39条)
第五節 計算書類の注記(第40条)
第六節 附属明細書(第41条・第42条)
<A>
新基準は、おそらく会社法の計算書類や金商法や公益法人会計の財務諸表を参考に順番の変更が行ったと推察します。比較表はだいたいのイメージです。
会社法435条 |
金融商品取引法 |
公益法人会計 |
新基準 |
貸借対照表 |
貸借対照表 |
貸借対照表 |
貸借対照表 |
損益計算書 |
損益計算書 |
正味財産増減計算書 |
事業活動収支計算書 |
|
キャシュ・フロー計算書 |
キャシュ・フロー計算書 |
資金収支計算書・ 活動区分資金収支計算書 |
株主資本等変動計算書 |
株主資本等変動計算書 |
|
|
個別注記表 |
(注記事項) |
財務諸表の注記 |
注記 |
附属明細書 |
附属明細表 |
附属明細書 |
附属明細書 |
今日は、ここまでです。
2025年01月10日
【借入金明細書】非公開の銀行別情報!
<Q>【借入金明細書】非公開の銀行別情報!
4月施行の新・学校法人会計基準では、従来の借入金明細表が借入金明細書に変更になり、書く内容がだいぶ簡略化されました。特に銀行別の情報を書かなくなったのはどうしてですか?
<A>
簡単に言うと複数の私学の団体の要望により銀行別の情報の記載がなくなりました。
綺麗な言葉の説明は、在り方検討会報告書p14にあります。
(2)借入金明細書(参考資料2様式7) ○現行の借入金明細表は貸借対照表に記載された長期借入金及び短期借入金について、借入先ごとにその増加、減少及び残高並びに利率、返済期限、使途及び担保物件の種類を明らかにする書類である。 ○現行様式の記載事項のうち、借入先については、どのような種類の金融機関から資金調達を行っているのか、種類別での記載は学校法人の資金繰りやリスクを判断するうえで重要な情報である。 ○一方、個々の借入金融機関名、利率については、地域により取引先の金融機関にとって、同業他社に知られたくない営業情報が含まれるおそれがあり、公開情報として適当でない。利率については、平均利率を記載する方法も考えられるが、借入金が1種類のみの場合は実質的に個別の利率情報を記載することとなる。 ○このため、借入先については、金融機関の種類(公的金融機関、市中金融機関、その他)とし、個別の金融機関名を開示しない。利率については、記載しない。 |
今日は、ここまでです。
2025年01月08日
【新基準】要らないの内訳表?
<Q>【新基準】要らないの内訳表?
4月施行の新・学校法人会計基準には、内訳表が出てきませんが、今後は作成不要なのですか?
<A>
私立学校法101条を根拠とする新・学校法人会計基準では、内訳表の作成は求められていません。
これは、現行の内訳表は補助金の配分の基礎として作成する性格が強いとの判断から計算書類からは除外されました。そのかわり、部門別の情報はセグメント情報として注記する
ことになります。(詳細な説明は、在り方検討会報告書P11)にあります。
ただ、実務では内訳表は、私立学校振興助成法施行規則で作成が求められるので、今後も内訳表の作成は、継続することになるでしょう。
今日は、ここまでです。
2025年01月06日
賞与引当金vs期末手当引当金
<Q>賞与引当金vs期末手当引当金
文科省は、「学校法人会計基準等に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について」で賞与引当金の計上を求めています。ただ、学校法人会計では、賞与を期末手当と言っているので期末手当引当金では駄目ですか????
<A>
とても良い質問です。学校法人会計では、賞与のことを公務員に賞与制度を借用し期末手当と呼んでいます。新・学校法人会計基準では、教員人件費や職員人件費の記載科目の説明に「期末手当」で出てきます。ですから、学校法人会計基準の中だけで考えれば、期末手当引当金という言い方が至極当然の呼び方で正しい呼び方です。
ただ、期末手当引当金という言い方は、実務慣行で使っていません。期末手当引当金は、個人的には正しい呼び方と考えるのですが、一般的な会計慣行に従って考えると賞与引当金ということになるでしょう。パブコメ結果についての「文部科学省の考え方」欄で「賞与引当金」という言葉を使っています。ここは正しい・正しくないの議論とは別に、今後は期末手当引当金でなく賞与引当金の言葉が使われることになるのでしょう。
今日は、ここまでです。