2007年08月
2007年08月27日
【24条】消費収支内訳表って何?
こんにちは! 月曜日に基準を読み込んで、とうとう消費収支計算書の最終回です。基準第24条(消費収支内訳表の記載方法等)です。
第24条(消費収支内訳表の記載方法等)
消費収支内訳表には、消費収支計算書に記載される消費収入及び消費支出の決算の額を第13条第1項各号に掲げる部門ごとに区分して記載するものとする。
2 消費収支内訳表の様式は、第5号様式のとおりとする。
【解説】
1 本条の趣旨
本条は、消費収支内訳表の記載方法と様式(第5号様式)について定めたものです。
2 目的
消費収支内訳表の作成を行わねばならないこととした趣旨は、資金収支内訳表の場合と同様です(13条)なのですが、簡単に言うと。内訳表を作成する目的は、部門別に各学校の収支状況を把握するとともに、部門別に補助金の利用状況をつかむためです。
3 部門の取扱い
資金収支内訳表の部門は2階層になっていますが、消費収支内訳表は1階層止まりでシンプルです。つまり、資金収支内訳表は第2階層までつくったのですが、消費収支内訳表は第1階層までの作成となります。
資金収支計算書は経常費補助金の扱いと連動していることや、学校法人会計基準ができた当時、消費収支計算書はなじみが薄く基本金組入額を細部に分けることが困難だったことなどから、資金収支計算書の内訳表のみ第2階層までと詳しく作成することとしましたが、消費収支内訳表の部門は第1階層止まりにとどまりました。
図表:内訳表の部門の取扱い
|
資金収支内訳表 |
消費収支内訳表 |
備考 |
第1階層 |
○ |
○ |
学校法人、各学校など |
第2階層 |
○ |
×(なし) |
大学・短大・高校を細分化 |
4 科目の違い
本条第2項において消費収支内訳表の様式を、第5号様式のとおり定めています。
消費収支計算書と第5号様式の消費収支内訳表を比べると、内訳表の方が科目が少なくなっています。内訳表を見ると、消費収入の部は消費収入の部合計まで、消費支出の部は消費支出の部合計まで表示していて、当年分の活動分をもれなく拾っています。消費収支計算書の当年度消費収入(又は支出)超過額以下は省略しています。
5 金額の決め方
どの部門に入れるのかが、すぐにわかる収入支出はよいのですが、部門をまたがる部門共通費の計算の場合は、それぞれの収入または支出の目的、内容 等に応じて、教員数、在学音数、床面積その他の比率等を勘案してできるだけ合理的なルールにより各部門に配付します。
具体的には、「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)(S55。文管企第250号)」に解説があります。
2007年08月21日
【経営】二極化進む大学経営
こんにちは! 文部科学省が学校基本調査を公表しました。日経から抜粋で全入時代を見てみます。
07年度は大学の志願者数と入学者数が一致する「全入」状態になると予想されていたが、志願者が想定より多く、全入時代の到来は来年以降に持ち越しとなった。
ただ、受験生が集まるのは一部の有名校に限られ、定員割れが続出する大学との二極化は一段と進んでおり、大学経営は厳しさを増している。
大学・短期大学の全志願者数(実数)は772,000人で前年度比1.0%減。入学者数は0.6%増の698,000人で、志願者数に対しどれだけ入学できたかの割合を示す「収容力」は90.5%にとどまった。
文科省は07年度には志願者数と入学者数が674,000人で一致し、収容力100%の全入状態になると予想していた。志願者が年に約5万―6万人ずつ減ると見込んだ試算だったが、実際にはそれほど減らなかった。同省は「景気回復で家計に余裕のできた家庭が大学進学を選んだ」と分析している。
ただ一学年の定員が100―200人程度の小規模校や地方などを中心に4割の私大が定員割れするなど、事実上の全入になっている大学も多く、学生の獲得合戦は今後も過熱しそうだ。
2007年08月20日
【23条】消費収支計算書の書き方
こんにちは! 月曜日は、基準を順番に読みこんでいます。とうとう消費収支計算書の8回目です。今日の基準23条(消費収支計算書の様式)です。消費収支計算書の中心との言うべき条文です。
第23条(消費収支計算書の様式)
消費収支計算書の様式は、第4号様式のとおりとする。
【解説】
1.本条の趣旨
本条は、消費収支計算書の様式を、第4号様式で示しました。消費収支計算書の様式は報告式です。
消費収支計算書は、わかりやすく言うと大きく「消費収入の部」と「消費支出の部」の2つの部からなっています。
消費収入の部は、第19条による記載科目の次に帰属収入合計を設け、次に基本金組入額合計を差し引いて消費収入の部合計を記載します。
消費支出の部は、第19条による記載科目の次に、予算上予備費を設けた場合は予算費を記載し、そのあとに消費支出の部合計を記載して作成します。
<第4号様式の要点>
消費収支計算書
○○年○月○日から
○○年○月○日まで
科目 |
金額 | |
消費収入の部 |
帰属収入合計 |
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基本金組入額合計 |
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消費収入の部合計 |
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消費支出の部 |
……… 〔予備費〕 消費支出の部合計 |
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当年度消費収入(又は支出)超過額 |
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前年度繰越消費収入(又は支出)超過額 |
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基本金取崩額 |
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翌年度繰越消費収入(又は支出)超過額 |
3.科目のルール
各科目のうち計上すべき金額がない科目の記載は、省略します。また、中科目の設定または小科目の追加、細分化を行っているときは、これらの科目を追加して記載します(第4号様式(注)1〜2参照)。
2007年08月13日
【22条】翌年度繰越消費収入超過額等の書き方
こんにちは! 月曜日は、学校法人会計基準を順番に読み込んでいます。今日は、消費収支計算書の7回目です。基準第22条(翌年度繰越消費収入超過額等の記載)は、21条に規定した翌年度繰越消費収入超過額等の消費収支計算書への記載方法を明らかにしたものです。
第22条(翌年度繰越消費収入超過額等の記載)
翌年度繰越消費収入超過額又は翌年度繰越消費支出超過額は、当年度消費収入超過 額又は当年度消費支出超過額の次に、前条第1項の規定による加減の計算とともに、当該金額を予算の額と対比して記載するものとする。
【解説】
1 本条の趣旨
本条は、基準20条に規定した翌年度繰越消費収入超過額等の消費収支計算書への記載方法を明らかにしたものです。
2 ひな形
ひな型は、先週の21条と同じです。
<第4号様式の抜粋>
消費収支計算書
○○年○月○日から
○○年○月○日まで
科目 |
予算 |
決算 |
差異 |
消費収入の部 |
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消費支出の部 |
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当年度消費収入(又は支出)超過額 |
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前年度繰越消費収入(又は支出)超過額 |
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基本金取崩額 |
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翌年度繰越消費収入(又は支出)超過額 |
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2007年08月06日
【21条】翌年度消費収入超過額等の書き方
こんにちは! 消費収支計算書の6回目です。基準第21条(翌年度消費収入超過額等)です。消費収支計算書は、各条にこだわらないで、15条から通して読まないとわかりませんね。さて、21条です。
第21条(翌年度繰越消費収入超過額等)
当該会計年度において次に掲げる額がある場合には、当法額を相互に加減した額を、翌年度繰越消費収入超過額又は翌年度繰越消費支出超過額として、翌会計年度に繰り越すものとする。
― 当年度消費収入超過額又は当年度消費支出超過額
二 前年度繰越消費収入超過額又は前年度繰越消費支出超過額
三 消費支出準備金(特定の会計年度の消費支出に充当するために留保する準備金をいう。以下同じ。)として当該会計年度において留保した額
四 消費支出準備金の当該会計年度における取崩額
五 第31条の規定により当該会計年度において取り崩した基本金の額
2 前項第3号の消費支出準備金の留保は、翌年度繰越消費支出超過額を繰り越すこととなる場合には、行なうことができないものとする。
【解説】
1.本条の趣旨
本条は、翌年度繰越消費収入超過額または翌年度繰越消費支出超過額の計算方法を定めるとともに、消費支出準備金の留保の制限を定めたものです。
2.消費支出準備金について
消費支出準備金は、将来における消費収支の計画的な均衡を図るため、特定の会計年度の消費支出に充当する目的をもって留保する準備金です。将来において、たとえば開校100周年記念式典を行なうための準備金です。
本条第2項は、消費支出準備金の留保を行なうことができない場合を明らかにいます。 消費支出準備金の留保をしても翌年度繰越消費支出超過額が出ないときに 限り、その範囲内でのみ消費支出準備金の留保ができます。これは、当該会計 年度における消費収支の均衡が取れない状態で、将来のために留保することは、消費支出準備金の制度を設けた趣旨に反するからです。
2007年08月03日
【経営】評議員会って何だろう?
<Q>学校法人には評議員会なるものがありますが何ですか?
<A>
評議員会は、普通の会社や公益法人にはありません。学校法人特有のものなので、ちょっと馴染みにない機関もしれません。
評議員会は、簡単に言うと、学校法人に必置の諮問機関です(私立学校法第41条)。寄附行為で、議決機関とすることもできますが(同法第42条2項)、数は少ないようです。
多くは、理事長は、評議員会の意見を聞かなければならないとして、理事長の諮問機関となっています。あくまでも、評議員会は、諮問機関なので、法律的には理事会を拘束することはありません。
私立学校法では、評議員の人数を理事総数の2倍を超える数としているのは(同法第41条2項)、学校法人の公共性の高揚と法人運営に対して教育関係者の意見を反映させようとする考えによります。