2023年06月05日
【退職金積立制度】幼稚園・高校と大学の違い
こんにちは!今日は、大学法人の法人事務局の総務の方からのご質問です。
<Q>【退職金積立制度】幼稚園・高校と大学の違い
当法人は、幼稚園、中学、高校、大学、専門学校を設置しています。ただ、退職金の積立制度で、幼稚園・中学・高校・専門学校が加入している県の〇〇財団と、大学が加入している私立大学退職金団体で退職給与引当金の計算方法の違いがあるようですが、どうしてですか?
<A>
簡単に言うと幼稚園・高校などが所属する県の財団と大学が加入する財団の退職金財源の財政方式が異なるので、退職給与引当金の計算方法の別のものとなっています。
ここは、会計士協会の研究報告第22号※のQ1にほとんど同じご質問があり参考にしてのご回答です。
※私立大学退職金財団及び私立学校退職金団体に対する負担金等に関する会計処理
に関するQ&A(学校法人委員会研究報告第22号) Q1 事前積立方式を採用している私学退職金団体に加入している場合と修正賦課方式を採用している私大退職金財団に加入している場合とでは退職給与引当金の計算は異なるか。 |
1.幼稚園、中学・高校、専門学校の場合(県の〇〇財団)
県の〇〇財団は、事前積立方式を採用しています。
事前積立方式は、登録された全教職員について将来必要とされる交付金を賄うに足る掛金を予測し交付金に要する資金を事前に積み立てていく方式です。
この場合に掛金を毎年度費用化することは発生主義に基づく退職金費用の期間配分の思考と相通じるものがあります。ですから、このような退職金団体に加入した場合、その掛金の計上をもって退職給与引当金の設定に替えています。
2.大学の場合(私立大学退職金財団)
大学の場合は、私立大学退職金財団に加入していますが、ここでは修正賦課方式という財政方式で退職金の財源を確保しています。まず、修正賦課方式の前提になる賦課方式の説明から始めます。
賦課方式は年度ごとに実際に退職する教職員に対して必要とされる交付金の額に見合うだけの資金を加入学校法人に配分し徴収する方式です。こちらは、退職金費用の期間配分の思考はありません。
次に、私大退職金財団が採用している修正賦課方式ですが、賦課方式に一定の積立金を保有して運営する財政方式であり、財政運営上の安全性を確保するため、退職資金交付額の1年分に相当する額を積み立てることとし、更に若干の安全率を加味した方式です。したがって、賦課方式も修正賦課方式も原則として将来必要とされる交付金に対する資金を準備するものではありません。
財団の「2021(令和3)年度 年次報告書」に修正賦課方式の絵があるので添付しておきます。
このように、幼稚園・高校などが加入する県の〇〇財団と大学が加入する私立大学退職金財団は、財政方式が異なることから退職給与引当金の計算方法も異なってくるのです。
今日は、ここまでです。