【大学】受託研究事業の収入計上時期【高校】県の学費負担軽減補助金の会計処理

2023年04月21日

【大学】科研費と受託研究事業

助教

今日は、ある大学でのご質問です。

 

<Q>【大学】科研費と受託研究事業

企業から受託事業を受けた場合の収入の会計処理を科研費の場合を比較して教えてください。

 

<A>

 企業からの受託研究事業も科研費のように直接経費部分と間接経費部分があるとします。

1.科研費の場合

 科研費は大学名の通帳に入金されますが、直接経費部分は直接経費と合わせて研究代表者又は研究機関の代表者に交付されるので、会計処理上は、「預り金」として学校法人会計を経由して研究代表者等に交付されます。

 一方、直接経費と一緒に入金される間接経費は,間接経費は補助金としての性格を有していないものなので収入科目は、「補助金(収入)」ではなく(大科目)「雑収入」の(小科目)「研究関連収入」等の科目で会計処理をします。

 

2.企業からの受託研究

 学校と企業との受託研究の契約書を拝見しないと最終的なことは言えないのですが、一般的には次のような会計処理になります。

 まず会計処理の指針を確認しておきます。

 まず基準を確認すると「受託事業収入とは、外部から委託を受けた試験、研究等による収入をいう」となっています(基準別表第一)

 それともう一つは、「受託事業等の会計処理に関するQ&A(学校法人委員会研究報告第5)です。

 さて会計処理の実際です。受託事業については、契約書の有無、契約上の名義にかかわらず、実質的に学校法人が契約上の受託者である場合は、その契約に係る全ての収入を学校法人の収入としなければならないこととされています(研究報告第5号Q2)。

 学校法人(大学)を契約の受託者とする受託事業なので大学では直接経費分、間接経費分ともに受託事業収入になります。

 

※早わかり図:会計処理のまとめ

 

科研費

受託研究

直接経費

預り金

受託事業収入

間接経費

雑収入

受託事業収入

 

<もっと詳しく>

1.科研費の会計処理

  分量が多いので、リンクにしました。

  科学研究費補助金の取り扱い(研究分担者分担金)月報私学H21.1(第133号)

 

2.大学の受託研究の注意点

    私立大学における受託研究について(通知)(平14.4.4 14文科高第26号)

1.受託研究に要する経費は、学校法人の会計を通して経理すること。

2.受託研究に要する経費を明確にし、受託研究に係る契約又は協定(以下「受託研究契約書等」という。)に明記すること。なお、受託研究の受入れに当たっては、当該研究遂行に関連し直接経費以外に必要となる間接経費を受け入れることができること。

3.受託研究の実施期間を明確にし、受託研究契約書等に明記すること。なお、受託研究の実施期間が3か月未満のものについては、収益事業の範囲から除外される対象とならず、法人税の課税対象となること。

4.受託研究の結果、知的所有権が生じた場合の権利等研究成果の帰属に関する事項を定め、受託研究契約書等に明記すること。なお、受託研究契約書等に研究成果の帰属に関する事項が明記されていないものについては、収益事業の範囲から除外される対象とならず、法人税の課税対象となること。

5.受託研究の研究成果は公表を基本的に前提とし、公表に関する事項を定め、受託研究契約書等に明記すること。なお、研究成果の公表を前提としないもの及び受託研究契約書等に研究成果の公表に関する事項が明記されていないものについては、収益事業の範囲から除外される対象とならず、法人税の課税対象となること。

 

 今日は、ここまでです。



kaikei123 at 07:00│Comments(0)

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