2019年11月06日
【部門】大学と大学院の関係(ややこしい大学院の部門表示)
<Q>【部門】大学と大学院の関係(ややこしい大学院の部門表示)
資金収支計算書は、大学院を大学に含めて決算書を作っていますが、いいのですか?
<A>
基準13条第2項から大学院は、大学に含めて部門を作りますが、第3項から大学院大学の研究科は1部門となります。
(資金収支内訳表の記載方法等) 第13条 資金収支内訳表には、資金収支計算書に記載される収入及び支出で当該会計年度の諸活動に対応するものの決算の額を次に掲げる部門ごとに区分して記載するものとする。 一 学校法人(次号から第五号までに掲げるものを除く。) 二 各学校(専修学校及び各種学校を含み、次号から第五号までに掲げるものを除く。) 三 研究所 四 各病院 五 農場、演習林その他前二号に掲げる施設の規模に相当する規模を有する各施設 2 前項第二号に掲げる部門の記載にあたっては、二以上の学部を置く大学にあっては学部(当該学部の専攻に対応する大学院の研究科、専攻科及び別科を含む。)に、二以上の学科を置く短期大学にあっては学科(当該学科の専攻に対応する専攻科及び別科を含む。)に、二以上の課程を置く高等学校にあっては課程(当該課程に対応する専攻科及び別科を含む。)にそれぞれ細分して記載するものとする。この場合において、学部の専攻に対応しない大学院の研究科は大学の学部とみなす。 3 学校教育法103条に規定する大学に係る前項の規定の適用については、当該大学に置く大学院の研究科は大学の学部とみなす。 |
●第2項→大学の学部には、当該学部の専攻に対応する大学院の研究科、専攻科及び別科を含むとされています。
もし学部の専攻に対応しない大学院の研究科があれば、大学の部門(細分部門としての部門)とみなすこととされているので、単一部門(細分部門としての部門)として表示します。
●第3項→いわゆる大学院大学の研究科は、大学の学部とみなすこととされています。つまり、基準13条1項の各学校に該当して、1つの独立部門とします。
<少し解説>
大学事典(H30平凡社)のP76〜77に大学院の説明があります。P76では大学院「……教育基本法の規定には「大学」のみがあって大学院はなく,学校教育法でも大学院は「大学」の章題のもとに規定がなされていて,これらの場合の「大学」は,大学院が含まれる広義の「大学」と解される。その上,実際には大学と大学院それぞれの教育研究組織である学部と研究科が重なりあっていて,実質的な教員団はほとんど同一という場合が多い。専門職大学院に至っては,実態は大学院の中の他の研究科と並ぶ一組織にすぎないという場合もある。学部に対応する分野を持たない研究科や大学院を,わざわざ独立研究科,独立大学院と称しもしている。」とあります。
教育基本法、学校教育法からみると広義の大学院は大学の一部のようなので、計算書類を作る場合の部門構成については、ここでは割り切って基準13条を理解します。
ただ気になることがあります。この大学事典のP70には大学法制の説明があるのですが、抜粋すると「こうした法令環境のもとで,大学制度の原点とも言える学校教育法において,大学の定義が大学院を含む広義の大学と大学院を除く学士課程の部分のみを指す狭義の大学概念が輻湊して規定され混乱を生んでいるといった齟齬も,解消されることなく推移している。」とあります。
そう言えば、大学設置基準の他に大学院設置基準の別にある等と、気になる部分はあるのですが、今日は学校法人会計の部門構成の話なので、大学の定義に広義と狭義があることだけを理解して、深入りしないで終わります。学校法人会計基準は、どちらかと言えば、広義の大学を考えているのですね。
今日は、ここまでです。