2017年10月17日
【有価証券】市場価格のない株式の評価
<Q>市場価格のない株式の評価
寄付でもらい受けた株式ですが、毎期、赤字を出しています。ただ、古い会社で所有土地を時価評価するとかなりの評価益(含み益)があります。
年度末の決算では、この土地の含み益部分を考慮して株式の評価をすることはできないでしょうか。
<A>
まず、市場価格のない株式の評価方法を確認します。文科省通知第8号にありました。※学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)(平25.9.2 25高私参第8号)
2. 有価証券の評価換え (2) 市場価格のない有価証券のうち、株式については当該株式の発行会社の実質価額(一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に従い作成された財務諸表を基礎とした1株あたりの純資産額)を時価とみなすものとし、取得価額に比べて50%以上下落した場合には、十分な証拠によって裏付けられない限り、その回復が可能とは認めないものとする。 |
とあります。
これだけでは、土地の含み益を考慮して良いかはっきりしませんので、この8号通知を説明する実務指針45号をみてみます。※「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」に関する実務指針(学校法人委員会実務指針第45号)
ありました。
4-6 市場価格のない株式の評価 A 市場価格のない株式の実質価額は第8号通知に記載のとおり「一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に従い作成された財務諸表を基礎とした1株当たりの純資産額」であり、これを時価とみなすことになるが、「基礎とした」とあることから、より実態に近い財政状態を算定するため、発行会社の財務諸表を無条件に使用するのではなく、発行会社の保有する資産等を時価評価して算定することも考えられる。したがって、発行会社の財務諸表において資産等の時価評価が行われていない場合は、発行会社の土地の含み損益等、時価評価のための資料が合理的に入手可能であれば、これを考慮して実質価額を算定する。 |
このへんの取り扱いを参考にして実質価額を算定してはどうでしょうか。
なお、業績の回復可能性については同実務指針4−7が参考になります。一緒に掲載しておきます。
4-7 市場価格のない株式の回復可能性の判断 A 市場価格のない株式について、その実質価額が取得価額に比べて50%以上下落し「時価が著しく低くなった場合」に該当したとしても、例えば学校法人からの出資割合が2分の1以上の出資先会社等であって、事業計画等を入手して回復可能性を判定することが可能なこともあるため、回復することが合理的に裏付けられる場合には、「十分な証拠」と考えることができ、相当の減額をしないことも認められる。 ただし、事業計画等は実行可能で合理的なものでなければならず、その回復可能性の判断は毎期見直すことが必要であり、その後の実績が事業計画等を下回った場合など、事業計画等に基づく業績回復が予定どおり進まないことが判明したときは、その期末において相当の減額をするか否かについて検討しなければならない。 |
今日は、引用だけで終わってしまいました。
今日は、ここまでです。