2017年10月04日
【法】教育基本法の拾い読み!
<Q>教育基本法と私立学校
教育基本法は、私学のどんな部分に影響を受けていますか?
※教育基本法
前文 |
|
|
第1章 教育の目的及び理念 | 第1条 第2条 第3条 第4条 | (教育の目的) (教育の目標) (生涯学習の理念) (教育の機会均等)
|
第2章 教育の実施に関する基 | 第5条 第6条 第7条 第8条 第9条 第10条 第11条 第12条 第13条
第14条第15条 | (義務教育) (学校教育) (大学) (私立学校) (教員) (家庭教育) (幼児期の教育) (社会教育) (学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力) (政治教育) (宗教教育) |
第3章 教育行政 | 第16条第17条 | (教育行政) (教育振興基本計画)
|
第4章 法令の制定 | 第18条 |
|
附則 |
|
|
<A>
専門的な解説はできませんが、教育基本法は条数が少ないので、本法を拾い読みしてコメントをつけてみます。
(義務教育) 第五条 …… 4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。 |
【私学への影響】
国と地方公共団体の義務教育の学校では授業料を徴収できないが、逆に私立学校については授業料を徴収することができます。
(学校教育) 第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。 |
【私学への影響】
ここでは設置主体の説明があります。教育基本法第六条第一項の「法律に定める学校」は、学校教育法と私立学校法に定める学校法人を指しています。
私立学校の「公共性」とは、教育基本法第6条第1項に規定しているように学校教育法第一条に規定する学校が「公の性質」を有するものであることに由来するものです。(松坂先生p5)
また、最近の話題として幼保連携型認定こども園は、学校教育法第一条に規定する学校ではないですが、教育基本法第六条第一項に規定する「法律に定める学校」となっています。
(私立学校) 第八条 私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。 |
【私学への影響】
文字通り、私立学校が日本の学校教育について量的にも質的にも大きな役割を果たしていることが述べられています。
もっと詳しく言います。
「逐条解説改正教育基本法」p128(H19 田中壮一郎)を引用させていただきます。
我が国の私立学校は独自の建学の精神等に基づく個性豊かな教育研究活動を積極的に展開し、例えば、大学では全学生数の約8割を私立大学の学生が占めるなど、我が国の学校教育の質。重両面にわたり大きな役割を果たしている。
本条は、そのような私立学校の重要な役割を明示するとともに、国や地方公共団体に対し、私学振興の努力を義務付けるものである。
(宗教教育) 第十五条 宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。 2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。 |
【私学への影響】
国立や公立の学校と異なり私立学校では、宗教教育が認められています。例えば、学校の寄附行為に「キリスト教主義に基づき」という文言を加えることができるわけです。
一般的な学校の目的は、寄附行為作成例にありました。
「(目的)
第3条 この法人は、教育基本法及び学校教育法に従い、学校教育を行い、○○な人材を育成することを目的とする。」となっており、教育基本法が私学の場合でも教育の根底にあることが伺えます。
今日は、ここまでです。