2017年01月17日

【私学法】理事の「忠実義務」と「善管注意義務」の違いって何?

理事こんにちは!今日は、高校の事務長さんからのご質問です。

 

<Q>理事の「忠実義務」と「善管注意義務」の違いって何?

 私は高校法人の理事をしておりますが、私学法が改正されて理事に忠実義務が課せられました。この忠実義務ですが、いわゆる善管注意義務とはどこが違うのですか??

 

<A>

 最高裁の裁判例では、忠実義務は,委任契約上の善管注意義務を明確にしたものであり,それとは別の高度の義務を課したものではないとされています(昭45.6.24)。最高裁の裁判例は、言わば同質説で通説(又は多数説)となっています。

※最高裁判例(昭和45624日)事件名:取締役の責任追及請求

 商法254条ノ2の規定(取締役の忠実義務)は、同法2543項民法644条に定める善管義務を敷衍し、かつ一層明確にしたにとどまるのであって、所論のように、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものとは解することができない。

 

<少し解説>

 まず、新しい私学法の確認です。

(忠実義務)

40条の2理事は、法令及び寄附行為を遵守し、学校法人のため忠実にその職務を行わなければならない。

 新しい私学法は、やはり松坂先生の逐条解説私立学校法(H28年版)の力をお借りします。40条の2の【解説】(p285286)からの引用です。

三 学校法人の理事は、法人の機関として、法人との間における委任類似の契約によって選任せられるから、委任の本旨に従って「善良なる管理者の注意(民法第644条)」をもって職務を行なわなければならないことは従前通りである。

 「善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)」とは、委任を受ける者の職業や専門家としての能力、社会的及び経済的地位等から考えて通常期待される程度の注意義務を意味しており、受任者はこの善管注意義務をもって、受任者としての職務を行わなければならない。

 

四 善管注意義務に加えて、平成26年の一部改正において新たに理事の忠実義務を規定したことについては、善管注意義務とともに忠実義務が明文で規定されている会社法の取締役の例が参考になる。

 すなわち、会社法においては、株式会社と取締役との関係について「委任に関する規定に従う」と規定した上で、取締役の忠実義務を規定している。(平成17年の会社法制定以前の商法においても、それぞれ第254条第3項及び第254条ノ3において同旨の規定が置かれていた。)会社法において、民法上の善管注意義務に重ねて忠実義務を規定した趣旨については、「委任関係に伴う善管注意義務を取締役につき強行規定とする点にあるに過ぎない(江頭「株式会社法」404頁ごとされている。すなわち、会社と取締役との間に契約等をしたとしても、取締役は忠実義務を負わないこととすることはできないとするところに忠実義務を規定する意義が存する。

 学校法人においても、本条の規定により、理事の善管注意義務を免除する等の契約があったとしても、理事は忠実義務、ひいては、それと同質である善管注意義務を負わなければならないこととなる。これは、報酬の有無や常勤非常勤の別を問わないものであり、無報酬の学外の非常勤理事であっても忠実義務を負うこととなる。

 

五 学校法人の理事に課せられた忠実義務の内容については、民法上の善管注意義務と同様に、学校法人の理事である者の職業や専門家としての能力、社会的及び経済的地位等から考えて通常期待される程度の注意義務をもって、理事としての職務を行うべきであることを意味する。

 松坂先生の逐条解説私立学校法、制度趣旨が良くわかり、おすすめです。

 

 今日は、ここまでです。



kaikei123 at 07:00│Comments(0)TrackBack(0)◎ 法人運営 

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