2017年01月12日
【機関比較】学校法人vs社会福祉法人vs公益財団法人(1/2)
<Q>【機関比較】学校法人vs社会福祉法人vs公益財団法人(1/2)
今、社会福祉法が改正されて社会福祉法人の機関の制度変更が大きくあったそうです。社会福祉法人制度の機関改正は公益財団法人を参考にしているそうです。
それでは、学校法人の制度を社会福祉法人や公益財団法人を比較するとどうなっているのですか?
<A>
御質問にお答えするには、回答が大きくなってしまします。
今日は、文科省が進めている「私立大学等の振興に関する検討会議」第2回会議(平成28年5月24日)での配布資料(資料1 学校法人のガバナンス・マネジメントの状況等に関する参考資料)を参考にしての御回答です。
学校法人の機関制度を社会福祉法人、公益財団法人と比較してみます。
容量の関係2分割での掲載です。
【理事・理事会関係】
| 学校法人 | 社会福祉法人 | 公益財団法人 | |
根拠法 | 私立学校法 | (改正)社会福祉法 | 一般社団・財団法人法及び公益法人認定法 | |
理事 | 定数 | 5人以上 | 6人以上 | 3人以上 |
職務・権限・義務(主なもの) | 寄附行為の定めるところにより、 −法人を代表 −理事長を補佐して学校法人の業務を掌理 | ・法人の業務を執行(理事長及び理事会の決議によって法人の業務を執行する理事として選任された者) | ・法人の業務を執行(代表理事及び理事会の決議によって法人の業務を執行する理事として選定された者) | |
・忠実義務 | ・忠実義務
| ・忠実義務 | ||
・利益相反行為の制限 | ・利益相反行為の制限 | ・利益相反行為の制限 | ||
− | ・善管注意義務 | ・善管注意義務 | ||
− | ・自己の職務の執行状況の理事会への報告(理事長・業務執行理事) | ・自己の職務の執行状況の理事会への報告(代表理事・業務執行理事) | ||
責任(主なもの) | 規定なし | ・法人及び第三者に対する損害賠償責任 | ・法人及び第三者に対する損害賠償責任 | |
選任 | ・設置する私立学校の校長等 ・評議員のうちから寄附行為の定めるところにより選任された者 ・その他寄附行為の定めるところにより選任された者 ※一名以上は外部理事 | ・社会福祉事業の経営に関する識見を有する者 ・当該法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者 ・当該法人が施設を設置している場合は当該施設の管理者 →上記の者が理事に含まれることが必要、評議員会の決議によって選任 | 評議員会の決議によって選任 | |
解任 | 規定なし | ・職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき ・心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき →評議員会の決議によって解任 | ・職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき ・心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき →評議員会の決議によって解任 | |
任期 | 規定なし | 2年以内(定款の定めにより短縮可) | 2年以内(定款の定めにより短縮可) | |
理事長 | 法人を代表し、その業務を総理 | ・法人の業務を執行 ・法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する | ・法人の業務を執行 ・法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する | |
理事会 | ・法人の業務を決定 | ・法人の業務執行の決定 | ・法人の業務執行の決定 | |
・理事の職務の執行を監督 | ・理事の職務の執行の監督 | ・理事の職務の執行の監督
| ||
− | ・理事長の選定及び解職 | ・代表理事の選定及び解職 | ||
役員への親族等の選任の制限 | 各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族が一人を超えて含まれてはならない。(つまり2人まで) | ・理事のうちには、各理事について、その配偶者若しくは三親等以内の親族その他各理事と特殊の関係がある者が三人を超えて含まれ、又は当該理事並びにその配偶者若しくは三親等以内の親族その他各理事と特殊の関係がある者が理事の総数の三分の一を超えて含まれてはならない。 | 各理事について、 ・当該理事及びその配偶者又は三親等内 の親族(当該理事と特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数 ・他の同一の団体の理事又は使用人その 他これに準ずる相互に密接な関係にある 者である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。 |
【監事関係】
| 学校法人 | 社会福祉法人 | 公益財団法人 | |
根拠法 | 私立学校法 | (改正)社会福祉法 | 一般社団・財団法人法及び公益法人認定法 | |
監事 | 定数 | 2人以上 | 2人以上 | 1人以上 |
職務・権限・義務(主なもの) | ・法人の業務を監査
| ・理事の職務の執行を監査
| ・理事の職務の執行を監査
| |
・法人の財産の状況の監査 |
|
| ||
・監査報告書を作成し、理事会及び評議員会に提出 | ・監査報告書の作成
| ・監査報告の作成
| ||
− | ・善管注意義務
| ・善管注意義務
| ||
・理事会に出席して意見を述べる | ・理事会への出席義務 | ・理事会への出席義務 | ||
・法人の業務又は財産に関し不正行為又は法令等に違反する重大な事実を発見したときは、所轄庁又は理事会及び評議員会に報告 | ・理事会への報告義務(理事が不正の行為をし、若しくはするおそれがあると認めるとき、又は法令等に違反する事実等がある と認めるとき) | ・理事会への報告義務(理事が不正の行為をし、若しくはするおそれがあると認めるとき、又は法令等に違反する事実等があると認めるとき) | ||
責任(主なもの) | 規定なし | ・法人及び第三者に対する損害賠償責任 | ・法人及び第三者に対する損害賠償責任 | |
選任 | ・評議員会の同意を得て理事長が選任 ※一名以上は外部監事 | ・社会福祉事業について識見を有する者 ・財務管理について識見を有する者 →上記の者が含まれることが必要、評議員会の決議によって選任 | 評議員会の決議によって選任 | |
解任 | 規定なし | ・職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき ・心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき →評議員会の決議によって解任 | ・職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき ・心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき →評議員会の決議によって解任 | |
任期 | 規定なし | 2年以内(定款の定めにより短縮可) | 4年以内(定款の定めにより2年以内まで短縮可) | |
兼職禁止 | 理事、評議員、当該法人職員との兼職禁止 | 理事、評議員、当該法人職員との兼職禁 止 | 当該法人又はその子法人の理事又は・使用人との兼職禁止 | |
役員への親族等の選任の制限 | 各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族が一人を超えて含まれてはならない。 | ・監事のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員と特殊の関係がある者が含まれてはならない。 |
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【評議員・評議員会関係】
| 学校法人 | 社会福祉法人 | 公益財団法人 | |
根拠法 | 私立学校法 | (改正)社会福祉法 | 一般社団・財団法人法及び公益法人認定法 | |
評議員 | 定数 | 理事の二倍を超える数 | 理事の定数を超える数 | 3人以上 |
職務・権限・義務(主なもの) | 規定なし | ・善管注意義務 | ・善管注意義務 | |
責任(主なもの) | 規定なし | ・法人及び第三者に対する損害賠償責任 | ・法人及び第三者に対する損害賠償責任 | |
選任 | ・当該学校法人の職員/25歳以上の卒業生のうちから寄附行為の定めるところにより選任された者 ・その他寄附行為の定めにより選任された者 | ・社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから、定款の定めるところにより選任 | 規定なし | |
解任 | 規定なし | 規定なし | 規定なし | |
任期 | 規定なし | 4年以内(定款の定めにより6年以内まで伸長可) | 4年以内(定款の定めにより6年以内まで伸長可) | |
兼職禁止 | ・監事との兼職禁止 ※理事と評議員は兼任可 | ・理事、監事、当該法人職員との兼職禁止 | 当該法人又はその子法人の理事、監事又は使用人との兼職禁止 | |
親族等の選任の制限 | 規定なし | 評議員のうちには、各役員又は各評議員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員又は各評議員と特殊の関係がある者が含まれてはならない。 | 規定なし | |
評議員会 | 位置付け | ・必置 | ・必置 | ・必置 |
・諮問機関 | ・議決機関 | ・議決機関 | ||
審議/決議事項 (主なもの) | 【理事長があらかじめ評議員会の意見を聞くもの】※寄附行為で定めることにより決議事項とすることも可 ・予算、借入金、重要な資産の処分 ・事業計画 ・寄附行為の変更 ・合併 【理事長が評議員会への報告及び意見聴取を行うもの】 ・決算及び事業実績 | ・定款の変更 ・理事、監事、会計監査人の選任、解任 ・理事、監事の報酬の決定(定款に額が定められていないときに限る。) | ・定款の変更 ・理事、監事、会計監査人の選任、解任 ・理事、監事の報酬の決定(定款に額が定められていないときに限る。) |
今日は、ここまでです。